26: 優秀な学生候補者を選抜するための会議 2
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「えっと……まず最初に……」
ウィリアムが全員に意見を求めた直後、リボンがすぐに手を挙げた。
「何かな?ボルヤノヴィチさん」
ラケスが聞き返した。
「エイドリアンさんはどこにいるんですか?書類は揃っているのに本人がいないんですが」
「今エイドリアンは探索隊の負傷者の治療に当たっているから来られないんだ」
シーモーが代わりに答えた。
「心配しなくていいわよ……会議が終わったら私が内容を後で伝えるから」
「そうなんですね。ご迷惑をおかけしてすみません」
リボンは全員に頭を下げてから席に座った。
「では続けましょう。この十枚の書類には、各授業の教授陣が前線に出る資質があると評価した新入生が記載されています……」
しかしウィリアムが言い終わる前に、シーモーが書類をテーブルに置いた。
「前線だと?ふざけたことを言うな。今の子たちが召喚されてきてまだ一週間だぞ。どれだけ優れたルーンを持っていても、戦闘経験が全くない人間が行っても足手まといになるだけだ」
確かに彼の言う通りだ。経験のない者をそのまま戦場に送り込んでも、魔女に殺されに行くようなものだ。
「はあ!?教授陣の評価が無意味だって言いたいのか!?」
アーディタクがすぐに怒り出した。するとエバリンが相変わらず彼に絡んだ。
「シーモーさんはただ、この子たちにはまだ練習が必要だと言いたいだけよ。本当に鈍い頭ね」
「何だって!!」
「どうか落ち着いてください……ここは会長の前ですよ」
ヴェント寮長のドニーが穏やかで低い声で二人を制した。いつの間にかテーブルの上にリボルバーが置かれていた。
「私はシーモーに同意するわ……今回は新入生に半年ほど練習させてから魔女の討伐に行かせればいいんじゃないかしら」
七歳のエミリーの発言に、会議室内の誰一人として異を唱えなかった。
「皆さんはどう思いますか……?」
もちろん沈黙は賛成を意味する。
「ではシーモーとエミリーの提案通り、魔女への突撃の時期を六ヶ月延期します」
全員が頷いて同意した。ウィリアムは次の議題へと移った。魔法で書類を一枚めくる。
「私たちが最初に厳しい訓練を受けるべき選抜候補生は……この子です」
名前、記載された経歴、ルーン、能力、さらには弱点まで書かれた書類に、私たちもよく知る新入生の名前が現れた。
「クロエ……アンダーソン……」
この新入生の苗字を聞いた瞬間、室内にわずかな緊張が走った。全員の視線が一点に集まった。
「……ご覧の通りです。この子は私の直系の曾孫なのです……」
書類を見ていたルイスは目を見開いた。彼女が無事だったことへの安堵が、胸いっぱいに広がった。
「へえ……どうりで顔に見覚えがあると思ったわ。キャサリン先輩の娘なのね、確かに。そうでしょマ―ベル……」
「先輩が消えてもう何百年も経ちますよ……私は覚えていません」
「この子、ジャイアント寮で練習してたよな……お前が指導してるのか、トーマス?」
ラケスが金髪碧眼の大柄な青年を見やった。
「いいえ、ラケスさん……今の彼女はリボンから合気道を習っているだけです……私が見るに、まだその段階に達していないと判断したので」
「そうですね……かつてメギロディアン最強の魔法使いと呼ばれたキャサリン先輩とは大違いですよね……確かシーモー先輩のライバルでもあったはずですよね」
「それは過去の話だ。今さら掘り返しても意味はない、杏里野崎」
「本当に素直じゃないんだから……この人は」
「まあいい……過去のことは置いておいて……今大切なのは彼女のルーンのことです」
「そうですよね……ゆかりちゃんが言っていたことによると、この子はどんな種類の魔法でも使えるようになるみたいです」
「しかも相手の弱点も見えるって言うじゃないですか」
さっきまで眉間にしわを寄せていた黒いスーツの青年が、この子への興味を示した。
「ほう……腕前はまだでも、ルーンはなかなかだな」
「ドニーさんは優れた人材を見つけると黙っていられないんだから……」
「まあね……優秀な人材に目をつけてスカウトするのも、マフィアの習性の一つだからな」
しばらく話を聞いていたアーディタクが、ある提案をした。
「えっと……この子が選抜候補生なら……私たち全員で魔法を教えることもできるんじゃないか?」
「うーん……一理あるわね。書類によると、彼女が使えるようになる魔法はある程度訓練しないと、力の粒子が他の魔法使いと同じレベルに達しないということらしいから」
「大変そうね……他の人より何倍も努力が必要じゃない」
「チートすぎる力にも、やはり弱点があるというわけだな」
「鋭いご意見ですね!池田さん」
「ありがとうございます、恵先輩」
「では全員異論なければそれで決まりね……でも一つ言っておくと」
「そうよ……この子に相手の弱点を見る力があるなら、代表を送り込んで戦わせる必要もなくなるんじゃないかしら?」
「確かに!行く人がそれほど傷つかなくて済む……」
全員が喜んでいたが、どう考えてもそうはならないのは明らかだった。
「残念ですが……クロエの力はそんなに簡単には使えないんです」
「あの子が言ってたんですが、相手が強ければ強いほど……弱点を見つけるまでの凝視時間が長くなるんです」
全員がまた静まり返った。しかし――
「その『強い』というのは……どの程度のことなのか……」
シーモーがリボンにすぐさま聞いた。
「強さの定義は人それぞれ違うからな。魔女が強いのは確かだ……でも結局のところ、当人次第だと思う」
「つまり……クロエ自身のものの見方による、ということですか」
「そういうこと……でも断言はできないけど……」
「それにこの子はエイガシ寮の生徒でもある……コウカ寮の生徒と同時に召喚されたのか」
全員がエイガシ寮の代表である二人の女性と、コウカ寮出身のルイスに目を向けた。もうエイガシ寮の生徒と同時に召喚された者が現れることはないという事実を知りながら。
「では次に行きましょう……次はライオット寮の生徒です……」
「双子ね……寺島家の谷口と結花」
「おっ……その二人は私から紹介するわ」
シーモーがわずかに微笑んだ……




