橋本
しかし、修道大拳法部の稽古は甘い物では無い。
入部して来た新入生は、やる気がある者がほとんどだったが初日からキツイ稽古が待っていた。
平野は拳立てや腹筋の回数は減らし、基本中の基本、四股突きに時間をさく事にした。
新入生の四股立ちは案の定、尻が出っ張り、腰が高かった。
「ケツを引っ込め❗️腰が高い」二年生と三年生の檄が飛ぶ。
休憩を入れた後、四股突きに移った。
「引手が甘い。抱きつかれた時、後ろの相手に肘打ちを入れる様に引け」と平野はポイントを指導する。
これだけで新入部員は、ヘトヘトになった。
「よし、休憩してから空間逆突きだ。まず、先輩の動きを見学しろ」平野が言うと新入部員は正座し、先輩の行う空間逆突きを見学した。
「では、開始」と平野は言い、号令をかけた。
二、三年生の先輩の動きを見ながら、新入部員は空間逆突きを始めた。
「前屈立ちの足幅が広いな。もっと狭く」「前のめりになるな。だからといって、背を伸ばし過ぎても、いかん」「引手が甘い」「そんな突きじゃ、相手は倒れんぞ」と平野は指摘する。
稽古開始から一時間が経ち、新入部員は疲労困憊して来た。
「よし、休憩した後、左の空間逆突きをやる」
新入部員が休憩している時、二年生と三年生は防具を付け組手を始めた。
新入部員は正座して見学している。
その時、一人の新入部員が「私もやらせて下さい」と言った。
皆の視線がその新入部員に集中した。
平野が「やるのは構わんが怪我しても知らんぞ」と言うと、その部員は「覚悟の上です」と言った。
平野が「お前の名前は?」と聞くと新入部員は「橋本です」と言った。




