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石橋の組手
入部した日から石橋は稽古に参加した。
しかし、少林寺流独特の稽古に慣れず、要領を得ない。
ただし、立ち方、突き、蹴りは完璧で二年生のレベルに達していた。
組手の稽古に入ると遠い間合いから突き蹴りを連発するスタイルで一年生達には圧勝した。
「よし、俺が相手をしよう」と平野は言い、石橋に胸を貸した。
平野は石橋の突き蹴りを難なくかわし、中段に前廻しを入れた。
防具の胴を付けても衝撃が貫通し石橋は踞った。
平野は更に回転して、後ろ蹴りを石橋の脇腹に入れた。
「ううっ」と言う呻き声を発し、石橋は倒れた。
「防具を付けていても、マトモに食らわない様、気を付けなさい」と平野は言った。
稽古が終わると平野は石橋を誘い、中華そば屋に行った。
二人でビールを飲んだ後、平野は石橋に「型より組手が好きだろう」と聞いた。
石橋は「はい」と答え、「組手で全国大会に出たいです」と言った。
「君は筋が良いから、稽古を休まず、頑張って下さい」と平野は言った。




