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闘わず勝利
残暑厳しい8月下旬、大学での稽古の終わり、平野が同期入部した一年生と自宅付近を歩いていると高校生二人が故意に肩をぶつけて来た。
血気盛んな平野は理不尽な行為を許せず、公園で闘うことになった。
ところが闘う寸前、相手方仲間の一人が平野の学生服のバッチに気付き、「大学空手部だ」と大声を出して来た。
相手の二人はひれ伏し、「許して下さい」と言った。
「お前達。ケンカを売る様な事は止めて、勉強やスポーツに打ち込め。ただし、空手は止めとけ。空手はケンカの道具ではない。お前達が空手をやるとケンカの道具にしそうだからな」と平野が言うと高校生は「はい、わかりました」と言い、逃げて行った。
「闘わず勝利、だな」と平野が言うと同期生はニコリ、と頷いた。




