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出会い

こんな嫌なことだらけの1日を延々と繰り返して疲れないわけがない。


楽しいと思っていた高校生活がこんなものだったなんて、中学生の私が知ったら相当困惑するだろうな。


とか考えながらお母さんが運転する車の窓から空を眺める。

今日は土曜日で、部活を休んで弟の試合を見に行くことになった。弟の康太もバドミントンをしていて、私と違ってそこそこ強い。確か県で3位とか言ってた。



大きくて綺麗な体育館に着き、荷物運びを手伝う。試合の合間の補給が重要なんだとか、お母さんが念入りに必要なものをクーラーボックスに詰めていた。


「重っ」


康太が眉間にしわを寄せてクーラーボックスを持ち上げた。


「あんたのためだから頑張ってー。」


お母さんが笑って言う。


「私は何持てば良い?」


「翼はそこの水色の。」


康太のより薄めの水色のクーラーボックスを持ち上げると思っていたより重かった。


「何入ってるのこれ。」


「飲み物全般。」


どうりで重いわけだ。


なんとか康太のクラブのみんなが陣取っている観覧席に着いた。


「翼、康太、それこっち持って来てー。」


お母さんに言われた通りに隅っこにクーラーボックスを置く。他にもクーラーボックスを持って来ている人はいるみたいで、気合が入ってるなと思う。


「クラブの誰も試合してないときは勉強でもしてたら?」


とお母さんに言われ、そのつもりだと頷く。

数学のワークをリュックから出したら、男の子が寄ってきた。康太と同じくらいの年齢に見える。


「だれ?」


真顔で聞かれた。


「康太のお姉ちゃんだよ。かなた気になるの?」


クラブのTシャツを着た女の人が言った。


「別にー。ねえ、何歳?」


かなたと呼ばれた男の子は綺麗な目で私の顔を覗き込んだ。


「17歳だよ。かなた君は小学6年生?」


康太と同じ小6の男の子がクラブにもう1人いるって聞いたことがあるような気がしてきた。お母さんがすごくアホって言ってた男の子の名前かなただったような。


「うん、小6。」


「かなた君は、名前漢字で書いたらどんなの?」


興味本意の質問。


「シャーペン貸して。」


私が持っていた水色のシャーペンを取って、数学のワークの空いたスペースに字を書いていく。

小学生らしい字で書かれた漢字は”奏多”。


「いいね。この字。」


雰囲気が柔らかい。


「そう?」


少し驚いたように奏多君は言った。


「うん。今日の試合、頑張ってね。」


「もちろん。あ、康太のお姉ちゃん、名前は?」


私にシャーペンを返しながら言った。


「翼だよ。」


「翼って、この?」


手を鳥の羽ばたきのようにブンブン振る。


「そうだよ。」


「へー、……このおおぞらにぃつばさをひろぉげぇとんでーゆきたーいーよぉー」


声変わり途中のような、なんとも言えない声で歌いながら奏多君は康太のところへ走って行った。

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