3つ目
7つの授業を乗り越えて、次は部活だ。
部活は楽しい。ラケットでシャトルを打つのはストレス発散にもなるし。ただ、最近1つ問題がある。
部室の扉を思いっきり開ける。立て付けが悪いからこうしないと開かないのだ。中には澄香がいた。
「あ、翼、おはよう。」
朝でもないのにおはようと言ってくる。
「おはよう。」
何故かおはようと言うのがバドミントンでは当たり前になっている。
「着替えないの?」
制服のままで出て行こうとする澄香に声をかけた。
「え、うん、今日は美希に呼ばれただから。」
部活に参加しないのが当たり前みたいに答えた澄香に少し腹が立った。
「そっか。」
澄香の顔を見ずに声だけで返す。
「うん。」
ガシャンとドアがしっかりハマらずただ閉まった音がした。
澄香は最近部活に来ない。もともと勉強一筋で、勉強を理由に部活を休むことはあったが2週間ずっと来ないことは初めてだ。聞いた話によると部活を辞めようとしているらしい。
1年間、4人で楽しくやってきたはずなのに澄香はこうもあっさり部活に来なくなるかとがっかりした。
私たち3人は、もはや呆れていて澄香に会っても何も言わない。
でもさすがにはっきりさせた方が良いだろうと、澄香に来てもらって話を聞こうということになった。澄香は美希に呼ばれたと言ったけど、美希が代表してメールを送っただけで、今日は4人で話すつもりだ。
着替えて体育館に行くと、もうみんな揃っていて、私がシューズを履くとすぐにウォーミングアップが始まった。
「1、2、3、4」
美希の軽快なリズムの後に、私たちも「5、6、7、8」と続ける。澄香は壁に寄りかかって私たちを眺めている。
体操が終わると、澄香が汐梨に冷たく言った。
「私、帰っても良い?」
「どうして?」
汐梨が答える前に美希が先に答えた。
「だって、話があるからって来たのに普通に部活してるじゃん。」
「そりゃそうでしょ。部活ほっぽり出すわけないんだから。」
と私が答える。
「じゃあ尚更私いる意味ないじゃん。」
澄香が強い口調で言い放った。
「それは違うんじゃない?澄香はバドミントン部でしょ。一緒に部活するのが普通じゃないの?」
汐梨がゆっくりと口を動かす。
「いや、私もう部活辞めるから。言ってなかったけ?」
私たち3人は口を揃えて聞いてないと答えた。澄香が部活を辞めると言った相手は、他の部活の友達だ。その口が軽い澄香の友達のおかけで私たちの耳にまで届いたけど、直接聞いたのは初めてだ。
「そっか。とりあえず私、部活はもう辞めるから。」
そう言って澄香は体育館から出て行った。残された私たち3人は怒りを隠しきれず、1年生5人はキョトンとした顔で立っていた。
あんな自己中心的な澄香に部活を掻き乱されるのが3つ目の苦痛。




