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冒険者ギルド~全身黒の男はやはり強そうに見えるそうです~

方向性が見えない

 冒険者ギルドなんていうものがあるのはリベルから聞いていたので知っていたが実際に来てみると何ともくるものがある。魔物を倒して報酬を得るというのは俺の中の知識にある小説にはよく出てくる。だからなのか憧れる所があるのは否定しない。

 無口なミリルと飄々としたアイリス、俺の隣で疲れたような顔をしたリベルを連れた俺は冒険者ギルドの中に入った。中にはギルド職員が何人かいたが冒険者はあまりいなかった。昼時にはあまりいないのだろうか。

 俺は気にすることなく、受付にギルド登録をお願いでる。


「はい、承ります。登録料二千コルになります」


「はい、これで」


「ちょうど頂きます。こちらがギルドカードになります。では、当ギルドについて説明してさせて頂きますね」


 ギルドとしての決まりは特別なものはない。ギルド以外で請け負った依頼は事故責任、冒険者間の争いごとも事故責任という厳しい内容だ。具体的に言うと前者はギルドを通さない依頼である場合ギルドは関わっていないのでトラブルが発生しても関知しないてすよという決まりだ。ある意味当たり前なのだがたまに文句を言う奴がいるので明文化しているそうだ。後者は言わずもがな私闘の類は生死問わず感知しないという決まりだ。相手の力量も計れない者は冒険者に相応しくないといった精神でこれもまた暗黙の了解なのだが明文化されている。

 冒険者にはランクがあり、S~Fまでの七段階がある。下はFから始まり、Sが最高ランクだ。ランクの上がり方は依頼達成数とギルド指定の魔物討伐か、あるいは上位ランクからの推薦からの模擬戦による実力判定だ。依頼は自分よりも二つ上のものが受けられることになっている。

 それらの説明をさらっと聞き終えた俺は自分の実力がどの程度なのか分からない為とりあえず常時依頼となっているゴブリンの討伐を受けることにした。ランクはEだ。


「というわけでどうする?戦う手段がないなら街で待機してもらうけど」


「私は一緒に行きますよ。お兄ちゃんが守ってくれますからね」


「私も、行く」


「それじゃあ私も行こうかしら」


「遊びじゃないんだがな」


 戦える人間が俺一人なのにどうしてそんなに余裕なのか。俺も人を殺せる程度の実力はあるが油断は禁物だ。ゴブリンがめっちゃ強いとかいう可能性もないわけではないのだ。

 ということはアイリスが言ったようにやはり俺は強そうに見えるのだろうか。


「なぁ俺って強そうに見えるのか?」


 そう聞いてみたらそれぞれ肯定を示す言葉が帰ってきた。さらには冒険者にまで強そうだなと声を掛けられたりした。どうやらこの世界は黒を着ていると強そうに見えるらしい。柄だけ白い護光と黒のロングコートに黒のパンツに黒ブーツ。ここまで黒ければ変態的だが俺としても黒だけは譲れない。黒には俺の心を表してくれているような感じがして好きなのだ。

 そんなことよりゴブリンだ。予想に違わず、ゴブリンは醜悪な顔をした魔物でうちのダンジョンにもいるし、冒険者では初めて倒す登竜門な魔物だ。知識の中にあるイ○ンクック先生みたいな感じだな。

 そんなわけですぐさま俺達は外に出た。ダンジョンに出てくる魔物もいるがこうして外に繁殖する魔物もいる。どちらが強いと一概には言えないがダンジョンの方が強いだろうと俺は思っている。決して外にいる魔物を舐めていい訳ではないが。


「ゴブリン、弱いな」


「あなたが強すぎるのではないの?」


「お兄ちゃん派手にやりすぎです」


 そう思っていたのだが拍子抜けするほどに弱かった。間接的とはいえ神と戦ったからなのかゴブリンに威圧感を感じない。あれは戦ったとはいえないものではあったけど。

 何にせよゴブリンはあっという間に討伐できた。群を統率するリーダーが出れば強さもまた変わるのだろうがそれでも俺なら倒せるだろう。ゴブリンは脳筋なので殴ればいいみたいな思考で突っ込んでくるのでそれ程苦労することもない。もっとも俺自身の身体能力が高いから言えるのであってそうでなければ死んでいただろう。

未だ剣の型もなく、斬るだけに特化した俺の考えではいずれ頭打ちになる。剣の扱いを深め、もっと精進しなければ自分より上の剣の使い手が現れれば死ぬことになる。俺が死ねばリベルもまた死ぬことになる。あるいはサルダージャにより弄ばれる。それだけは避けなくてはならない。何としても。絶対に。


「忌々しいな本当に」


「焦っても仕方ありませんよ。今は刃を研ぐ時です。それに時間はまだありますよ。リカエルさんが抑えてくれるでしょう」


「リベルが言うならそうなんだろうけど。まぁのんびりやるよ」


 察しが良すぎるリベルは俺の焦りも理解しているみたいだ。アイリスは自分は知らないとばかりにミリルと戯れている。ミリルは不機嫌そうにしているが嫌がってはいないということは気を許しているということなのだろう。

 俺にとって神という存在は俺とリベルとの障害であり、どうしようもなく憎い相手だ。リベルの命さえ奪おうとする邪魔者だ。神というだけありそれなりに強くまだ殺しきれないだろうがいつかは葬り去る。リベルとの約束であるし、俺の願いとなった今ではその方針に迷いはない。


「そろそろ帰りましょうよ。充分倒せたみたいだし」


「そうだな。帰るか」


「……離して」


「嫌よ」


「何やってんだ……」


 ミリルの言葉にアイリスは速攻で否を返す。俺はそれに呆れの声を出しながら街の方へと歩き出した。


 ギルドカードには魔物の討伐数が記録される。これは魔物が死んだ瞬間に放出される魔力をギルドカードが感知する形で記録されるそうだ。その理屈で行けばどんな魔物を狩っても記録されるというのだから便利すぎると思う。そして、俺のギルドカードにはゴブリン討伐数20の数字がある。受付にギルドカードを渡すと大層驚かれた。初日にゴブリンをこれだけ倒すのはやはり異常だったのだろうか。

 周りを見てみればひそひそと声が聞こえてくる。強そうだとか怖そうだとかとにかくそう言う声が聞こえてくる。やはり全身黒装備というのは強そうに見えるみたいだ。


「はい。こちら二千コルになります。それにしても凄いですね。登録初日にゴブリンを20匹も倒すなんて」


「まぁね。剣を振り回すくらいならできるからね。剣の道を行く奴には勝てないけど」


「この調子ならランクアップも近そうですね。期待しています」


 そんな会話をして俺は外で待っているリベル達と合流しようとした時。


ーー侵入者が現れました


 侵入者が現れた。

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