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サルダリア村~奴隷の種族は精霊~

 何気なく異世界に来て初めての人殺しを終え、実感した途端に吐き気に襲われた。今までリベルのことで怒り状態だったのでどうにもなかっただけだった。リベルに背中を撫でられてどうにか収まったが何だか情けなくなった。リベルは平気なのに。平気なのに。

 これからこの世界で容赦なく人を殺していくことになるのにこんなことではダメだと思うが俺はやはりまだ一般人なのだ。記憶にある知識に照らし合わせて見れば俺は日本人だと分かる。そこでは人殺しなど滅多なことでは起こらず、平和が当たり前に享受されていた世界だったはずなのだ。

 もちろん俺自身積極的に殺して生きたいと思っているだけではない。つい、リベルに対して過保護になってしまってるせいでリベルのことになると見境がなくなる可能性が多いのだ。こんな様ではリベルを守れない、早く慣れねばと思う。


「まぁその慣れるか」


「お兄ちゃん、無理はダメですよ。私は人の死を何度も見てきましたから慣れているだけです。スラムでは人が死ぬのが当たり前でしたからね」


「リベル……よく生きてたな」


「お兄ちゃんより前に好きになった人が守ってくれましたからね。想いを伝える前に死んでしまいました」


「……そっか」


「あ、今は何とも思っていませんよ?ただ彼が生きていたなら私は謝りたいとは思います。私のせいで死んでしまったのですから」


「いつか、教えてくれよ。全部」


「!……はい。いつか決心がついたら」


 俺はリベルのことをほとんど何も知らない。リベルも俺のことをほとんど知らない。俺の場合は記憶が消えてしまったから何も言うことはないがリベルには記憶がある。つらい過去がある。それは、きっと隠したいことで話したくないことなのだろう。名前も偽物であるのを未だに本当の名前で言わないのはリベルがその名を望んでいるから。割と好きな名前だけどな。


「復讐と解放、か」


「そういえば鑑定も持っているんでしたね。すみません、本当のこと全然言えなくて」


「いや、いいさ。ただ俺の側から居なくなるなんて無しだから。寂しいのは嫌だし」


「分かってますよ。お兄ちゃんは寂しがりの臆病者ですからね」


 臆病者ではないと思いたい。いや、実際どうなんだろうか。今着てる装備も防御力の高いオリハルコンというファンタジー鉱石を薄く糸状にして編み込んだ特性のコートなんだけど。ちなみにズボンにも同じものを使用している。だから、臆病者と言われるのだろうか。そういうリベルの服も実は特殊な素材で特殊効果を付与されてるワンピースなんだけどな。特殊効果は魔法防御・大と物理防御・大が付いている。俺はどこまで言っても過保護なのだ。

 おそらくそういうことではなくて慎重と言うことだろう。わざわざ臆病者と言う辺り、少しだけ拗ねたということかな。可愛い奴だまったく。


「まぁとにかく目の前に迫った村に入るとしようか」


「それもそうですね。いつの間にか目の前にありますから入りましょう」


 サルダリア村についた俺達は早速村に入った。村の中は特に変わった物はなかった。畑が耕している人もいれば家畜を育ててる人もいる。村には雑貨屋しかなく、武器屋や防具屋はなかった、。武器は今腰に差してる片手剣があるから問題ない。これは一応鉄で打ったとされる西洋剣、いわゆるロングソードをDPで購入した。DP500MP200とDPがたくさんある今は余裕で買えたので予備も含め二本買っている。防具のDP50000よりはマシだ。防御力を求めただけ高かったのだがこちらも満足しているのでこれも変える予定もない。よって、用があるとしても今後は武器屋だけとなるだろう。

 リベルの服もそのうち自作したいと思う。脳内のデザインさえあればDPとMPを多く消費するが具現化できる。フリル付きのスカートとかメイドさんとか着させてはみたい。小さいリベルに服装による可愛さが合わさって余計に可愛くなって俺は鼻血出るの確定だな。 まぁそのうちだな。気が向いて時間がある時にでも。


「む、お兄ちゃんあれ」


「リベルにメイド服……はっ、どうしたリベル」


「いえ、何でもありません」


 俺はリベルに呆れた眼差しで見られるのに耐えきれなくなり、リベルが、指差した方を見る。そこには首輪を付けた精霊の女の子がいた。ん?精霊。


「精霊が奴隷になってるぞリベル」


「そうなのですか?私の知識が間違っていなければ奴隷の精霊なんていない筈なんですが」


 村人が怪訝そうに俺達を見る中俺は奴隷の精霊を見る。鞭を打たれて痛そうにしているのも問題なのだが精霊が奴隷になっていることが何よりの疑問だ。

 そもそも精霊とはこの世界の魔力循環に関わる重要な役割をしている。魔力を生み出し、その魔力を世界中に巡らせるのが精霊の役割であるのだ。精霊がいて初めて魔法を使える人間やその他種族達は精霊に危害を加えることはない。精霊は人前に晒されることも滅多にないし、人がそれに危害を加えたならそいつがいた一帯が不毛の地に変わると言われているのでそんなことをすることはない。そんな珍しく丁寧に扱うべき存在が奴隷に落とされているはおかしいのだ。

 俺はとにかくその奴隷の近くまで行ってみることにした。何か分かることがあるかもしれないから。


「おらっ!言うことを聞かないと死ぬぞ!」


「ひっ!」


 どうやら奴隷の精霊くんは怯えきって言うことを聞かないらしい。どうにかしてこいつを助けてあげたいと思う。リベルに重なるものもあるし、何より精霊というのを仲間に付けることは神殺しをする為の布石の一つとしてもいいと思う。


「なぁあんた。どうしたんだ?」


「あ?なんだあんたはよそ者か」


「ああ、旅人をしている。道に少し迷ってたな。それよりその奴隷はどうしたんだ?」


「こいつ、俺の命令を一つも言うこと聞きゃしない。折角奴隷商から安く手に入れたというのに」


「なるほど。どうです?俺に売ってみませんか?労働力にもならないなら金にした方がいいでしょう?」


「十万コル。払えるのか?」


 こいつ正規の奴隷の値段できやがったな。まぁ仕方ない。ここはDPでミスリル二キロ程出してみようか。


「ミスリル二キロでどうだ?純粋なミスリルだから高く売れると思うぞ」


「……分かった。交渉成立だ」


 俺はこうして奴隷とミスリル二キロを交換した。リベルは何だか複雑そうな顔をしていたが俺はこの精霊を買うと決めたのだ。うん、リベルは女の子買ったことに怒ってるんだよな。分かってる俺だって。でも、決して俺はそういう目的で買った訳ではない。

 精霊とは契約する事で精霊魔法を使うことができる。精霊の格によって下位の精霊の使役も可能で戦力はかなりのものになるという。今更だが全部リベルの受け売りだ。


 俺はサルダリア村から出て帰ることにした。精霊さんは俺が抱えてる。しばらく歩いた所で転移魔法を起動、ダンジョンマスター専用の部屋に帰ってきた。


「さて、精霊さんを解放しようか」


「!何で精霊だって」


「リベル、頼む」


「はい。ディスペル」


 リベルの声と共に聖なる光が精霊さんにまとわりつき、奴隷に必ず刻印去れる隷属魔法の刻印が弾け飛んだ。

 奴隷には必ず奴隷魔法による刻印がどこかに現れる。これが現れる場所は人によって変わる。何故、変わるのかは分かっていないがその中で多いのは腕の甲やお腹だ。

 この精霊の場合は胸の所に刻印が現れたのかそこから光が溢れ出して弾け飛んだ。その結果、衣服が弾け飛んだ。分かるだろうか、この不可抗力によるリベルの痛い視線。俺は決して悪くないのに。

 すぐさまDPを消費をして毛布を取り出してかけてやる。


「どうして精霊だって分かったの?」


「俺には鑑定の魔法があるからな」


「魔法……スキルのこと?」


「ああ、そっちではそういうのか。とにかく鑑定を持っているから分かったんだ。流石に熟練度が低いのか属性までは分からなかったが」


「そう?所であなたは人間なの?人間にしては神聖な雰囲気があるけど」


 俺は苦笑した。黒ずくめな服を着ている奴に神聖な雰囲気なんて言うのがおかしかったのだ。


「いや、ダンジョンマスターだ。その神聖な雰囲気かは知らんが絶対正義のリカエルの力を持ってるからじゃないか?」


「王!王とあったことがあるのか!」


「王?」


 俺は興奮する精霊さんの話を聞いた。要約すると精霊達はリカエルが生み出した存在であること。精霊によって呼び方が変わること。リカエルには絶対服従な存在であることだ。

 あのくそ神の存在がいまいち分からんな。邪神なのは分かったが何を司っているのだか。


「まぁリカエルの子供というわけか。それで属性は何を持っているんだ?」


「闇属性だ。王にはユースベルという名をもらった」


「ユースベルか。いい名前だな。ん、それじゃあさっきのディスペルはまずかったのか?」


「問題ない。そこの少女の魔力は闇で出来ていた。闇を吸収してる感じだったからな」


 闇を吸収?ディスペルは一応聖属性なのはずなんだがまた謎が増えたな。明らかに聖なる光を発していたはずなんだが。


「まぁいい。俺と契約しないかユースベル」


「契約か?契約には王の許可がいるぞ」


「許可か。偽物でもいけるのか?」


 俺のダンジョンの十階層にはリカエルの分身体がいる。そいつでも本体との連絡が可能とのことだったので早速許可を貰いに行ったら即時了承をもらえた。

 偽物からの声とはいえ、リカエルの声を聞いて大はしゃぎするユースベルに俺は少し困惑した。これが俗に言う大好きなパパにあえた子供という奴なのか。あれ、そういえば、リベルどこに行ったんだろ。さっきから姿が見えないな。


 ようやくはしゃぎ終わったユースベルに俺は早速契約を頼んだ。契約には特別なことは必要なく、手と手を触れる程度でいいということだったので手を合わせた。すると、魔力で繋がったのが分かった。これで契約完了か。


「あっという間に終わったな」


「よろしく頼むぞ、タツ」


「ああ、よろしく頼む」


 そういえば、と思い出してリベルの所に向かうとチョコレートを馬鹿食いしていた。うん、めっちゃ拗ねてる。俺はこの後、リベルの機嫌を直すのにまた時間を費やすのだった。

リベルの名前の由来は復讐と解放だったりします。復讐者のリベンジャーに解放者のリベレイターを合わせてリベルって感じですね。

お読みくださりありがとうございます。これからも気分次第で更新しますので拙い作品をよろしくお願いします。


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