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欲深な者の末路

 おらはツリュル。サルダリア村出身のイケてる男。おらの夢は一攫千金を狙っていつの日か女侍らせること。そのためには何でもしてきた。村長の娘に唾をつけてうまいこと次期村長の座を確定さしたし、権力者には媚びを売って繋がりを持ってきた。おらの努力が認められてこのあいだとある貴族様に呼び出された。貴族様に少女を連れてこいと言われた。おらは流石に悩んだ。サルダリア村には男しか今はいないのだ。だから、街にでも言って連れ去ろうかと考えて村の外で歩いていると都合よく目の前に少女が現れた。黒い髪にまさに小ささも少女と呼べる。それはおらにも運が回ってきたってことかな。これでようやく夢が叶いそうだな。

 おらはさっそく少女に声を掛けてみることにした。


「おい、お前」


「ん?何でしょうか」


「お前、ついてこい」


「はぁ……ナンパですか?こんな少女をナンパするなんて馬鹿なんですか?」


 こいつおらのことをバカにしすぎだろ。いやここは冷静になるところだな。こういう時は飴で釣るんだ。大概のガキはこれで釣れる。おらはこの仕事をこなして絶対女を侍らしてやりたい放題するんだ。


「甘い物があるからついてこい。来てくれたらやるぞ」


「……やはり馬鹿なのですか?誘拐する時の常套句なんて。誘拐しますよって言ってるみたいなもんですよ」


「くっ、いいからこい!」


 おらはついかっとなって少女の肩に手をかけようとした。その時、目の前に黒が現れた。おらはそれを見て息を飲んだ。こんな恐ろしい存在見たことも聞いたこともない。全身黒ずくめの男は腰に差してある片手剣の柄に手を当てながらついに口を開いた。


「おい……」


「ひ、ひぃ」


「あ、お兄ちゃん。この人変なんですよ?さっきから誘拐の常套句ばかり言うんですよ」


「リベル、分かっててやってるのならあざとすぎるぞ」


「むぅ、お兄ちゃんはノリというものを理解していますか?」


 おらの目の前で呑気に喋っている。今ならアレを使えば何とかなるか?いやしかし、これを使うのは流石にやばいか。そんなことをおらが思っているとお兄ちゃんと呼ばれた黒ずくめの男がこちらを見て言った。


「睡眠のお香?そんなもの持ってたのか。何をするつもりだったんだ」


 それは底冷えするほど冷たい声だった。おらが今相手によって生かされているのを否が応にでも分からせる王者の声。おらは思わず体が震えるのを止められずにその男に目を縫い付けられた。目を離せば死ぬ気がしてしまい、離せない。しかし、なぜバレたんたんだ?あ、もしかして鑑定スキル持ちなのか。それなら納得だ。これまた教会に持って行けば金になるという金の実。

 くそ、おらはこんな所で死ぬなんてごめんだ。ここはどうにかやり過ごしすか。あの少女を人質にしよう。そしたらあの男も言うことを聞くはず。一石二鳥だな。流石はおらだ。


「お、おらはそこの子に飴をあげようと思っただけだ。何もやましいことなんてしてない」


「……お兄ちゃん」


「ごめん。リベル俺、許せそうにないよ」


「そうですか……私は見ていますよ」


「ありがとう、リベル」


 な、なんだ。おらの方に近寄ってくる。失敗したか。流石に言い訳っぽかったか。黒ずくめの男は右手には黒の片手剣を持ち、一歩一歩おらの元へと歩いてくる。まるで死の宣告を聞いているような錯覚さえ覚える。一歩踏めばおらの心臓が跳ねるのが分かる。もう一歩踏み出せばおらの顔から汗が出てくる。そしめ、おらの目の前で来てからおらの耳元でーー死神が囁く。


「よくもリベルを攫おうとしたな。死ぬ覚悟はあるよな?」


 おらは確信した。こいつは生ける死神だ。おらの足が震えてる。股から温かいものも感じる。死神が後ろを振り返り、去っていく。おらは声を出そうとしてそこで意識を失った。

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