ダンジョンの外へ~賢い子は大人な子供~
青い空に澄んだ空気、太陽が上からおはようとご挨拶する。なんて、言ってみたが太陽を久々に見て感動して俺が挨拶してしまった。
そんなわけでダンジョンの外へ出た俺とリベルはとりあえず深呼吸をした。
「うん、外だな」
「いいですね、お兄ちゃん。このままずっと外で暮らしたいです」
リベル、外に出れたんだな。今更ながらリベルの存在ってよく分からないんだよな。神の奴隷にされてたことくらいしか分からない。あれ、これってまずくないのか。そうでもないか。まだ出会って1ヶ月程度だし。
「リベルって何者?」
「え?言ってませんでしたか?人の大陸テリダン出身の現地人ですよ」
「現地人て。俺の第一現地人リベルなのか。嬉しいけど、何だかなぁ」
「そう言われましても私にはどうしようもありませんよ」
「まぁそうだけどさ。ということはどっかに暮らしてたのか?」
「ユースヘルグという街のスラム住んでいました」
「その割には敬語とか使えてるけど」
「それは、神の知識にあったので。気まぐれにしては知識を大量に入ってますよ」
「何がしたかったんだか分からんなあのくそ神。いや、あいつ邪神だったな」
「え、そうだったんですか」
「だって、あんな鬼畜野郎だぜ?リカエルが正神だろ絶対」
「リカエルさんが何者なのかは知りませんがそれもそうですね」
納得したように首を縦に振るリベル。未だにダンジョンの外に出てから一歩も歩いていない。リベルの頭を撫でて可愛がる。これがデフォルトの立ち止まり方だ。ド○クエ5の止まり方のデフォルトはその場で歩くだからな。俺たちにもそういうの用意して見た。うん、冗談だよ。そんなことしてたらアホみたいだし。
周りを見渡して見てると一定間隔で木が立っており、間から太陽の日差しが差している。森というよりは林のようだ。
ひとしきり見渡してからリベルを促して歩く。歩いている途中で花を見つけてそれに駆け寄って綺麗とか言うリベルを眺めたり、蝶を見て捕まえようと飛び跳ねるリベルに笑ったりとにかくリベルが何かをする度に俺の心が満たされる。子供を持つ親的な心情だ。恋人?嫁?になったリベルだけど、今でも変わらずにそういう気持ちも残っている。少し賢いだけのリベルが色んな物に興味を持ち、はしゃぐ様はとてもいいと思う。俺が子供の頃に通った道なのだ。記憶はないけど。リベルもきっといつか懐かしく思うことになるのかなぁなんて思って見ていたらリベルが少し恥ずかしそうにして俺を見た。
「お兄ちゃんは少し意地悪ですね」
「俺もそんな頃があったはずなんだ。だから、リベルを見てると懐かしい気持ちになれるからさ」
「そうですか。では、少しだけ子供に戻って見ることにします」
子供のような純粋な興味だけで色んな疑問を持つことは大事だ。子供らしさはその頃にしか持てないものであるし、大人になればなるほどそういった疑問も聞けなくなる。
だから、俺はリベルに子供らしさも持って欲しいと思っている。もちろん、俺が疑問に答えられないこともあるかもしれない。その時は一緒に考えればいい。それが二人で生きる意味であるし、俺達の場合の夫婦になることだと思う。
リベルにそこまで子供のようになれとは言わないがこの賢い子は俺の望むように色んな物を見て、目を輝かせている。木を見て触ったり、花を見て感動したりしている。それは俺が見てて安らぎを覚える子供らしさで俺が求めるものだ。それを理解して大人ぶらずに素のリベルを見せてくれることに嬉しさを覚えるし、有り難さも覚える。そこに俺に対する配慮が含まれているから。
「ありがとう、リベル」
「どうしたのですか?早く行きましょうよ」
聞かなかった振りなんて賢い奴だ。確か難聴系主人公なんて言うのが一時流行ったけど、あれは酷いよな。話はずれたけど、リベルには感謝だな。
「ああ、行こうか。サルダリア村だったか」
「まずはそこに行くんですか?」
「金を手に入れたいしな」
俺はそういって右ポケットからくすんだ宝石を取り出す。小ささ過ぎるが磨けばそれなりになる宝石だ。DPで1000とMPで1000を出してわざわざ作ったものだ。これから数ヶ月掛けて外を調べるのでDPはあまり使わない。それなりに専用魔法をリベルと合わせて覚えたので更に使うことはないだろうと思い、金を稼ぐ手段を見つけるまでの繋ぎとして作った。
「さ、手を出してリベル」
「こうですか?」
俺はリベルの右手を握る。離さないように。二度と離さないように。
「離すなよ」
「はい!」
リベルも嬉しそうで良かった。小さな手に感じる温もりを離すことのないように俺は手を握った。




