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死亡フラグが全部付箋で見えるんですが  作者: 絵宮 芳緒
第五章 動き出す未来

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第九話 忍び寄る影

翌朝、騎士団本部。


「失礼いたします。」


ノアは執務室へ入り、一礼した。

レオンは机上の書類から視線を上げる。


「戻ったか。」


「はい。」


ノアは静かに頷く。

副団長も椅子へ腰掛けたまま、報告を待っていた。


「報告いたします。」


執務室へ静かな声が響く。


「証言者であるローゼ商会の跡取りを調査いたしました。」


レオンは短く頷く。


「続けろ。」


「商会に不審な動きは確認できませんでした。跡取り本人につきましても、特に事件へ関与していると断定できる事実はございません。」


副団長が口を開く。


「では、違和感の正体は何だった。」


ノアは少し考えるように、視線を落とした。


「……守りたいものがあるように感じました。」


レオンは黙って、耳を傾ける。


「住宅街にあるパン屋へ立ち寄り、一人の女性と会っておりました。女性はパン屋で働く平民と思われます。二人の様子に不自然な点はございませんでした。互いを思いやり、穏やかな時間を過ごしていただけです。」


一度、言葉を切る。


「少なくとも、あの女性が事件へ関わっているようには見えませんでした。」


執務室に静かな沈黙が落ちる。


やがてレオンが口を開いた。


「現時点では決めつけるな。」


「はっ。」


「証拠がない以上、憶測で人を疑うわけにはいかない。」


レオンの言葉に、副団長ヴィクトルも静かに頷く。


「だが、違和感を覚えたというお前の勘も軽視はできん。」


ノアは背筋を伸ばした。


「ありがとうございます。」


「引き続き、ローゼ商会と関係者の動きを探れ。」


「承知いたしました。」


レオンは静かに立ち上がった。


「焦るな。証拠は、必ずどこかに残る。」


「……はい。」


「この事件はまだ終わっていない。」


レオンの低い声が執務室に響く。


「引き続き調査を続けろ。」


「承知いたしました。」


ノアは一礼し、執務室を後にする。

静かに閉まる扉を見つめながら、ヴィクトルはぽつりと呟いた。


「……妙ですね。」


レオンは窓の外へ目を向けた。


「ああ。」


「嫌な予感ほど、当たるものだ。」




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