第十一話 支え合う場所
馬房をあとにすると、レオンは再び歩き始めた。
「次は、こちらをご案内いたします。」
「はい。」
廊下を進むと、どこからともなく食欲をそそる香りが漂ってくる。
「いい香り……。」
リシェルは、思わず辺りを見回した。
レオンは小さく頷く。
「食堂です。」
大きな扉の向こうでは、昼食の準備が進められていた。
忙しく動く調理担当。
配膳を手伝う騎士。
食器を運ぶ若い団員。
それぞれが、手際よく役目を果たしている。
リシェルは目を丸くした。
「騎士の皆様も、お手伝いなさるのですね。」
「ええ。」
レオンは、穏やかに答える。
「当番制です。」
「役職に関係なく、皆で支え合っています。」
リシェルはその光景を見つめながら、小さく微笑んだ。
「本当に、素敵ですね。騎士団は、戦うだけの場所だと思っておりました。ですが、こうして皆様が支え合っていらっしゃる姿を拝見すると……。」
言葉を探すように、視線を巡らせる。
「まるで、一つの家族のようです。」
その言葉に、レオンは静かに足を止めた。
レオンは、静かに足を止めた。
「家族……ですか。」
その言葉を、ゆっくりと噛みしめるように繰り返す。
食堂では、配膳を終えた騎士が食器を運び、別の騎士が自然とその後を引き継いでいた。
誰かに命じられたわけではない。
当たり前のように、手を差し伸べる。
そんな光景が、そこにはあった。
レオンは、穏やかに微笑む。
「そうかもしれません。苦しい時も、危険な任務も共に乗り越えてきました。互いを信じなければ、騎士は務まりません。」
リシェルは静かに、耳を傾ける。
「ですから、家族と言っていただけると……嬉しく思います。」
その一言は、とても静かだった。
けれど、騎士団への深い愛情が滲んでいた。
リシェルも自然と微笑む。
「皆様がレオン様を信頼していらっしゃる理由が、少し分かった気がいたします。」




