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死亡フラグが全部付箋で見えるんですが  作者: 絵宮 芳緒
第三章 忍び寄る影

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第八話 交わした名前

「団長、二名とも確保しました!」


ノアの声が、静かな通りへ響く。


男たちは巡回騎士によって拘束され、抵抗する力を失っていた。


レオンは小さく頷く。


「ご苦労。」


短く労うと、すぐに騎士たちへ視線を向ける。


「身元を確認しろ。所持品も調べるんだ。周囲に仲間が潜んでいる可能性もある。警戒を怠るな。」


「はっ!」


騎士たちは、一斉に動き出す。


ノアも拘束を確認すると、周囲へ鋭く視線を巡らせた。


レオンはその様子を見届けてから、静かに剣を鞘へ収める。


乾いた音が、張り詰めていた空気をほどくように響いた。


そして初めて、リシェルたちへ向き直る。


「お怪我は、ございませんか。」


低く落ち着いた声だった。


先ほどまで、剣を振るっていた人物とは思えないほど、穏やかで相手を安心させる響きがあった。


リシェルは小さく息を整え、静かに頷く。


「……はい。おかげさまで。」


その隣で、マリアも深々と頭を下げる。


「助けていただき、本当にありがとうございました。」


「礼には及びません。」


レオンは、静かに首を横へ振った。


「王都騎士団として、当然の務めです。」


その言葉に、リシェルは自然と背筋を伸ばした。


誇りを持って、職務を果たす。

その姿勢が、一言だけで伝わってくる。


「あの……。」


リシェルは、少しだけ考えるように視線を落とした。


「以前、大通りで逃走犯がこちらへ向かってきたことがございました。」


レオンは黙って、耳を傾ける。


「あの時も、『危険です』と声を掛けてくださった騎士様が、いらっしゃいました。」


「もしかして……あの時も、貴方様だったのでしょうか。」


レオンは一瞬だけ、目を細める。


「ああ。」


短く頷いた。


「あの時は、巡回中でした。」


それだけだった。

武勇を語ることも、自分から説明を加えることもない。


その控えめな答えに、リシェルは優しく微笑んだ。


「そう、だったのですね。あの時は、お礼を申し上げる間もございませんでした。改めまして……ありがとうございました。」


リシェルは伯爵令嬢らしく、美しい所作で一礼する。


レオンもまた、礼を返した。


「申し遅れました。王都騎士団長、レオン・ヴァルフォードと申します。」




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