第7話 おうちデート?
高校生活も一ヶ月を過ぎ、ゴールデンウィークへと突入した。俺はあまり外に出るタイプではないので家でゴロゴロしよう。そう思っていたGW初日に一件のメッセージが届く。
『GW暇な日ある?』
『この前言ったライブ鑑賞、しない?』
メッセージの送り主は塩塚さんである。このGWの間、愛の巣から出るつもりはなかったのだが、ライブ映像は見たい。
「毎日暇だよ」
「ぜひ見たいです」
誘惑に駆られて、俺は外出することを決意した。
『4日はどう?』
「いけます」
『じゃあ4日に私の家で』
『あ』
『私の家知らないよね』
『送るね』
「たしかに知らないわ」
「ありがとう」
4日が待ちきれないほど楽しみである。
冷静になって気づいたが、女の子の家に行くのか?急に緊張感が出てきた。
***
GWもあっという間に過ぎ、今日はついに塩塚さんの家に行く日となった。地図を見ながらなんとか塩塚さんの家までたどり着けた。緊張しながらインターホンを押す。するとすぐに玄関から出てきた。
「こんにちは宮野君」
普段の制服姿とは異なる可愛らしい姿に目を奪われる。
「こ、こんにちは塩塚さん。その服似合ってるね」
「ほんと?ありがと。とりあえず入って」
「お邪魔します」
そして塩塚さんの部屋へと案内される。
「ここが私の部屋。飲み物とかお菓子とか取ってくるから中でくつろいどいて」
そう言われましても。女の子の部屋に一人は緊張するな。
とりあえず部屋の真ん中の机の前に座る。あまり部屋をジロジロ見るのも良くないと思い、机を眺めていると写真立てが目に入る。思わず眺めていると、そこには塩塚さんらしき人と数人の女子が写っている。持っているものや服装から察するに、これは小学校の卒業式だろう。そんな考察をしていると
「何見てんの」
飲み物とお菓子が載ったトレーを持った塩塚さんが、俺のことを見つめながら言う。その視線はとても冷たい。
「ちゃうんすよ、、」
何が違うか分からないが、塩塚さんの視線が怖くてうまく言葉が出てこない。五月上旬であるのにもかかわらず、真冬の朝のような寒気がする。命の危機を感じる。
塩塚さんはトレーを置き、写真立てを別の場所に移し、また俺の方へ視線を向ける。
「どうして写真をガン見していたの?」
普段の塩塚さんの声とは思えないほど低い声で俺に尋ねてくる。
「えっと、、あんまり部屋の中をジロジロ見るのは良くないかなーと思いまして、、机を眺めていたんですよ、、そしたら写真立てが目に入りまして、、その、、つい、、」
何とか言葉を紡いでいく。粗相の無いように、慎重に。
「本当に?」
「本当でございます」
「まあ、あそこに置いておいた私も少しは悪かったわ」
「いや、少し見すぎでした。ごめん」
「まあいいわよ、写真の件も、私の部屋をジロジロ見ても。その代わり、私のお願いを一つ聞いてもらうわ」
「仰せのままに。何でもお申し付けください」
「その口調は少し気持ち悪いわね。とにかく、覚悟しておくことね」
「分かりました」
「さ、気持ちを切り替えて、さっそく観ましょうか」
「そうだね」
とりあえず何とかなったか。よし、楽しんでいこうじゃあないか。
その後は楽しい時間が続き、お互いオタクになりながら語り合った。
「そろそろお開きにしようか。もういい時間だし」
「うん。そろそろ家族が帰って来ちゃう」
「またね、塩塚さん」
「またね、宮野君」
そう言って別れの挨拶をして、玄関のドアを開けると
「あら、こんにちは。まあ、結が朝からソワソワしてると思ったら男の子を連れ込んでたなんて。隅に置けないわね」
「え!お姉ちゃんのカレシ!?」
そこには塩塚さんのお母さんと妹がいた。俺の背後からは叫び声がする。
「お母さん、優奈、この人は同じ学校の友達!カレシじゃないから!」
「あらあら」
「ほんとにー?」
「ほんとにほんと!宮野君もそこに立ってないで早く帰って!」
「宮野君って言うのね。うちの娘をよろしくね」
「お姉ちゃん、結構優良物件だと思うよ。お兄さん、どう?」
「あはは、、」
「もおおおおおお!」
夕方の空に、塩塚さんの叫び声が響く。




