第4話 ある日の昼休み
「ねえ宮野君。良かったら今日、一緒にお昼食べない?」
風香さんの口から思わぬ発言が飛び出し、俺は耳を疑った。断る理由は無いが、どうして俺なんかを誘ったのだろうか。
「もちろん良いんだけど、どうして俺と?」
「な、なんでもいいでしょー!ここだとちょっと恥ずかしいから生徒会室行こ?」
そう言って風香さんは、少し照れたように俺の手を掴んだ。そして、生徒会室まで俺を引っ張っていった。
生徒会室の前まで来たが何やら声がする。俺と風香さんはドアの後ろに隠れて耳を澄ますと、歌声が聞こえた。姿をこっそり確認すると見覚えのある人物だった。
「あれって、三組の谷口さんか?」
「うん、そうだと思う」
「歌うのが好きなのかな。何か聞いたことあるか?」
「私は何も知らないわ。まだ直接話したこともないし」
歌声の主は、一年三組の谷口七海さんだ。なぜ俺が知っているのかというと、彼女も生徒会の顔合わせにいたからである。
「あら?私の美声を聴きに来られたのですか?」
俺達がこそこそ話している間に、谷口さんに見つかってしまった。
「ち、違うんだこれは。俺達は生徒会室で昼飯食べようと思って」
「あら、そうでしたのね。失礼ですが、お二人はお付き合いをされているのかしら?」
「付き合ってねえよ!ただの友達だよ」
「つ、付き、、えへ、、」
「お付き合いもされていないのに、一緒にご飯を?」
「そりゃ友達なんだし、飯くらい一緒に食ってもおかしくないだろ」
「ウフフ。確かにそうですわね。今日はそういうことにしておきますわ。私はここで歌っているので、気にせず食べてちょうだい」
「気にしないわけにはいかんだろ、、」
風香さんの様子が変な気がするが、とりあえず俺と風香さんはお昼ご飯を食べ始めた。
「あーん、はしませんの?」
「するかよ。」
「宮野君が良ければ、、あーんしてあげよっか?」
「あらあら、彼女の方は満更でもなさそうですわよ」
「どうしたんだい風香さん。体調でも悪いのかい」
「そんなことないよ。健康体だよ」
「ならいいんだ。そして、あーんは遠慮しておく。そういうのは特別な人にするもんだぞ」
「、、、宮野君は私にとっては特別な人だよ」
「ん、なんか言ったか?」
「何でもないよ」
俺と風香さんはお昼ご飯を食べ終えたところで谷口さんもちょうど歌い終えた。
「ふう。私はそろそろ戻りますわ」
「俺たちもそろそろ戻ろうか」
「そうだね、宮野君」
「またね、谷口さん」
「ええ、また私の歌を聴きに来てくださいまし」
「ははは」
普段はぼっちで過ごしている昼休みだが、誰かと一緒に過ごすというのも悪くないな。そう思いながら教室に戻る俺の横で、風香さんはどこか嬉しそうに歩いていた。




