第37話 怖いよ風香さん
「いたた。一体どうしたの?」
風香さんにいきなり生徒会室に連行されたが、生徒会室に着いても風香さんは何も喋らない。
それにしても、風香さんは本当に力が強い。俺のことを掴んで有無を言わせずここまで引きずってきたんだから。さっきも両腕ガチガチに拘束されたし。怒らせたらヤバいやつだなこれは。慎重にいこう。
「私は怒っているの」
俺の心読まれてる?
「な、なんかしましたかね…」
「さっきからお客さんと近いんじゃない?あんな女とベタベタベタベタ」
俺じゃなくて向こうが勝手にベタベタしてくるんだけどなあ。
「確かにちょっと距離が近かったかもしれないね。お客さんとの距離も考えながら接客していくよ。ありがとう」
「分かってくれたなら良いのよ。変な女と一緒にいたら変なのが移るんだから気を付けて」
「ん?分かった気を付ける」
まあ野々花も姉も傍から見たら変な女か。
彼女達は愛が重すぎるだけなのだよ。
***
やあ、みんな!うちの学園祭を楽しんでくれているかい?
楽しんでくれているなら俺は満足さ。何々?「キャバクラが特に楽しかった。みんなかわいい」だって?そんなこと言ってもらえて嬉しいなあ。キャバ嬢冥利に尽きるぜ。フハハハ!って痛い!何よいきなり!姉さんにもぶたれたことないのに!
「起きろ、かなめ。そして着替えろ。みんなもう帰るぞ」
今のは夢か。そうだった。俺は風香さんに連れていかれた後、休み無しで最後まで働き続けたんだった。そして疲れて生徒会室のソファにダーイブ!そして今。
「はあ~疲れた~早く帰りた~い」
「だから早く着替えて帰れ」
「悠月ってば辛辣~」
「何かキモイから早く帰れ。明日もあるんだぞ」
「は~い!」
キャバ嬢ズハイとでも言うのだろうか。身体は疲れているが気分は最高にハイだ。
とりあえず着替えよう。
「着替えるから出てって~っていないのかよ」
悠月はすでにいなかった。まあいいや着替えだ着替え。
「宮野くーん!お姉さんが来てるよー!って、キャー!ご、ごめんね!」
「キャー!」
俺が着替えている生徒会室のドアを風香さんが開けた。
ちょうど上裸だったからか、すぐに閉めて謝ってきた。俺も俺でキャー!とか言っちゃったけど別に上裸くらい見られたって何ともないだろうが。鍛えてるんだし。
風香さんってばドアの隙間からチラチラ見てないですか?顔が赤くなってますよ?手で口を押えてますけどヨダレが溢れてきてますよ?
「かーくん!お姉さんが迎えに来たよー!って、キャー!かーくんカッコイイイイ!!!」
「黙ってくれ姉さん。着替え中だから入ってこないで。着替えたらすぐ行くから」
「カッコイイかーくんも素敵!外で待ってるからねー!」
いつも脱衣所覗いてくる癖に何をいまさらって感じである。
「姉さん着替え終わったよ」
「はーい♡さ、帰りましょ!お父さんとメイちゃんが車で待ってますよ!」
「はいはい」
疲れたし早く帰ろう。うん。
「みやのくーん!また明日ねー!」
「ああ、また明日」
風香さんとも別れを告げ、俺と姉は父さんと芽衣の待つ駐車場へと向かう。
疲れた時は妹に癒してもらうしかない。うちの世界一かわいい妹、芽衣。ああ、早く会いたい。




