第36話 姉
俺のことを指名してきた客は、俺の姉であり、同じ西高校に通う二年生の宮野胡桃だった。
「かーくんったら、お化粧までしてかわいい!よしよーし」
「っと、外ではやめろって!あと客のお触り禁止!」
姉がなでようとしてくる手をギリギリで避ける。これくらいお手の物だ。
姉は、俺のことをとても溺愛している。所構わず触ってきたり、抱きついてきたりする。恥ずかしいったりゃあらしない。
当然、学校でも抱きついてこようとしてきたため断固拒否し、校内での過度な接触を禁止にした。当たり前だ。
その代わり、家の中では姉の好きなようにさせている。外でされるより何倍もマシだ。
以前、俺の親友である今野蒼はこう言っていた。
『姉弟仲良くて羨ましいなー!俺なんて毎日姉ちゃんと喧嘩してばっかりだぜ』
俺は姉とは仲良くしているつもりは毛頭ない。向こうが勝手にくっついてきているだけで俺は最大限避けている。避けてコレなのである。
「姉さんと話すことなんて何もないよ。しっし」
「ツンツンしてるかーくんも素敵ね♡」
「静かにしてくれバカ姉さん」
「おほっ♡この店は罵倒オプションまであるなんて素晴らしいいい!」
「早く帰れええええええ!!!」
バカ姉の口を塞ぎ、速攻でチェキを撮り退店させた。もうカスハラの領域にいるだろう。カス姉だカス姉。アネハラか?まあいいや。
「明日も来るからねー!」
「二度と来るなー!」
なんとか帰らせることに成功した。今日一番の山場を乗り越えた気分だ。さっき休憩をしたのにもう疲れが。
「宮野君、こっち来て」
「はい?っていたたたたた」
風香さんに肩を掴まれ、強引に生徒会室へと連行された。




