第15話 ハーレム勉強会④
「おかえりなさいませ、ご主人様」
女子の制服を着た俺は、生徒会室に入ってくるみんなにメイドらしく挨拶する。
数秒の沈黙の後、みんなから憐みの視線を向けられる。
「そういう路線でやっていくのもいいんじゃないかな、、私は宮野君がやりたいなら否定はしないよ。頑張ってね」
先生、俺死にたいんすよ。
***
昨日の挑戦に失敗した俺は、今日一日みんなの前でメイドになることになった。悠月が借りてきた女子の制服を着て、みんなに尽くすこととなった。
昨日勉強会に来ていた人は俺の事情を知っているが、休んだ人は何も知らないため、俺が女装してメイドの真似事をしている変態野郎と認識されていてもおかしくない。
遅れて風香さんがやってくる。風香さんは昨日の勉強会を休んでいるため、この姿や言動についての弁明が必要である。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
風香さんは手で口を押えて絶句している。
「風香さん違うんだ。これは罰ゲームなんだ」
「そ、そうなんだあ、へえー。似合ってて良いと思うよー」
「そ、そうかな。ありがとう」
「いいのいいのー」
俺と目を全く合わせてくれない。終わった。風香さんの中で俺は完全に変態としてのレッテルを張られてしまったのだ。
***
「メイドさーん、お菓子ちょうだーい」
「かしこまりました。塩塚様」
「うお笑」
こっちは真面目にメイドしてるっていうのに何冷笑してんだコラ。
「メイドさん、この問題が分からないので教えてほしいのですが」
「かしこまりました。陽子様。この問題はこの公式を使うとうまく解けます」
「本当だ。ありがとう、メイドさん」
こんな感じで、勉強しているみんなのお手伝いをしている。
順調にメイドしている中、ある人がやって来た。
「おつかれさまー、かなめくんいるー?って何その恰好」
志摩先輩が生徒会室に来た。
「おかえりなさいませ。ご主人様。本日はどのようなご用件で?」
「かなめくんにはそういう趣味があったのか。少し話したいことがあったのだけれど、面白いものが見れたから今日のところはいいや。写真だけ取らせてもらうね。じゃーねー」
そう言って写真を撮り、志摩先輩は立ち去ってしまった。
写真撮られた!?このような痴態を悠月以外にデータ化されて所有されるのは御免だ。
「ちょっと先輩ー、写真消してくださいよー」
「やーだよー。消してほしかったら私を捕まえてごらん。」
そう言って、志摩先輩は走る。俺はそれを追いかける。校内鬼ごっこの始まりだ。
五分ほど追いかけてようやく捕まえることが出来た。なかなか手強かった。
「あー捕まっちゃったかー。しょうがない、写真は消してあげるよ」
「ありがとうございます。志摩先輩」
「てか、そんな恰好で行内走り回ってたけど良いの」
「あ」
志摩先輩を追いかけるのに夢中で人の目を一切気にしていなかった。
しばらくの間、クラスメイトからの視線は冷ややかなものが多かった。




