第11話 枕契約
俺は思考を巡らせる。まずは現状把握から始めよう。俺は昼休みに生徒会室のソファで寝ていた。そして今起きたところ、俺の左太ももに女子生徒の頭が乗っている。すやすやしている。足元を確認すると、一学年上の色の柄が入った上履きを履いている。
今は何時だ。時計を確認すると十二時五十分か。まだ昼休みである。この先輩が起きるまで待つか。それともそーっと足を抜くか。
今何をすべきかを高速で思考した結果、俺の脳内CPUは「そーっと足を抜く」と結論づけた。この先輩を起こすリスクよりも、この状況を誰かに見られるリスクを取ったのだ。
俺は左足をゆっくり動かす。すると、先輩が俺の左足を掴み
「どこいくのぉ」
と寝言を言う。俺はびっくりして
「うわあああああ!」
と叫んでしまう。もうこの先輩が起きようと関係ない。俺はこの場から逃げるべく、即座に左足を引き抜き全速力で生徒会室を後にした。しばらくはこの先輩が夢に出てくることになるだろう。
***
翌日。昨日の夢を見たのでとても寝つきが悪い。今日も生徒会室に行くことを決意した俺は、午前の授業が終わってすぐに教室を後にした。生徒会室に着き、ドアを開けると先客がいた。昨日の先輩である。ソファに座ってうたた寝をしている。恐る恐る近づいていき、先輩の目の前まで来たところで先輩が俺に気づく。
俺が反応するよりも早く先輩は俺の肩を掴み、俺はソファへ倒れた。先輩の手は俺の肩から背中へと移動し、物凄い力で抱き着いてくる。どうしたらいいか考えようとしたが、それはすぐに断念した。
顔に押し付けられた双丘の感触と鼻の奥まで充満する香りに、俺の頭は思考を停止した。今はこの先輩に身を委ね、一時の幸せを感じることとした。
***
「みやのくーーーーん!」
そう叫ぶ声と共に俺はソファから落ち、目を覚ます。
「ちょっと宮野君!どういう状況なの!」
俺の前には風香さんが立っている。風香さんが俺と先輩を引き剝がしてくれたらしい。
「ありがとう風香さん。助かったよ」
「いいからどういう状況なのか説明して!」
風香さんは少し怒ったような口調でそう問い詰めてくる。
「生徒会室で昼寝しようと思ったんだよ。そしたらこの先輩が先にいた。何してるのか見にいったら突然体ごとソファに引きずりこまれて、、」
先輩の魅力に負けてしまったことは言えない。
「ふーん。嘘ついてたら許さないからね!」
「全部本当のことさ。ところで、風香さんはなぜここに?」
「宮野君がすぐ教室を出たと思ったら生徒会室の方へ行くから何してるのか気になったのよ。ご飯を食べた後にここに来たらまさかこんなことになってるだなんて。とっても幸せそうな顔をしていたわよ。宮野君」
「あはは、、」
すると、先輩が目を覚ます。
「んーよく眠れたあ。あ、キミは昨日の枕君。いい寝心地だったよ」
「まさか昨日もこんなことを、、?」
「ちが、、違う!昨日はこんなことはしていない!」
「キミの名前を教えてくれ」
「俺は一年二組の宮野かなめです」
「そうかあ。私は二年の志摩優だ。早速だがかなめくん。キミは今日から私の専属枕にならないかい?」
「はい?」
「学校にいる間、私が呼んだらすぐ駆けつけて膝枕をするんだ。もちろタダでとは言わない。報酬は後々決めよう」
悪くないどころか素晴らしい提案ではないか。俺は膝枕をするだけで報酬をもらえる。しかも、女の先輩を。デメリット無くないか?
「やりましょう」
「交渉成立だな。よろしくだ、かなめくん」
俺の背後から殺気のような冷気のようなものを感じる。しかし、俺は己の欲望に従い、志摩先輩との枕契約を結んだ。




