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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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2055/2056

第2045話、制御室へ乗り込め


 ノースパーク中央ブロック。広めの通路を、障害物をなぎ倒してコマンドーは進む。これだけ派手にやれば、敵がわんさかやってくる。


「いつもこんな調子なのか、少佐?」

「まさか」


 フライシャー少佐は苦笑した。


「こういうのは滅多にありませんよ」


 潜入工作というのは、見つからないのが最善である。隠密をもってよしとする。……隠密とは?


「正面、機械!」


 箱形のマシンが滑るように進路上に現れる。異空間制御装置のある部屋に行くには、こいつが邪魔だ。


「気をつけろ!」


 次の瞬間、箱形から魔弾が放たれた。俺はとっさに構える。


「シールド!」


 爆発。防御魔法に着弾した魔弾が弾けた。中々の威力である。コマンドーたちが叫ぶ。


「反撃しろ!」


 魔石銃が箱形めがけて放たれるが、その装甲は厚く、すべて無効化していた。フライシャーが声を張り上げる。


「プラズマ手榴弾!」


 機械を電撃で破壊する手投げ弾を投擲する。こいつのいいところは、外がいくら固かろうが、ショートさせて倒せるところなんだけど。


 プラズマ手榴弾が炸裂した。青白い電撃が辺り一面に走り、周りにいたネメジス歩兵をも巻き込んで感電させた。近くにいたくはないねぇ。

 コマンドーの一人が目を見開く。


「効かないぞ!?」


 箱形はまた少し前進すると、魔弾を撃ち込んできた。その攻撃は俺の防御魔法の前には無力だったが。


「電撃対策がされているんだな」


 地味に弱点がカバーされている。嫌らしい機械だ。フライシャーは顔をしかめた。


「また、面倒な……」

「ネメジスの対歩兵機械の一面が知れたな」


 俺は手を伸ばし、魔力の手で箱形を横から持ち上げてひっくり返した。バタンと派手に横転するが、正面への射線がずれて俺たちを攻撃できない。


「これで無力化できたかな」

「まさに手も足も出ないようですな」


 フライシャーは皮肉った。それを言うなら、手も足も最初からないようだがね。


「進め!」


 箱形を踏み越えて、さらに奥へ。正面の目的の部屋は扉に塞がれている。見たところ、金属製の扉で、ぶ厚そうだ。ネメジス歩兵が数人、俺たちを阻もうとするが、コマンドーたちが手早く射殺していった。


「マスターキーではビクともしなさそうですな」


 フライシャーは、ショットガン持ちのコマンドーを一瞥した。普通の扉なら、ドアノブごと吹っ飛ばして蹴破るということもできたのだろうが。


「アクセスパネルはどこだ?」


 扉を開けるためのスイッチとかそういうのが、扉のすぐ横にあったりするものだが、それはなし。


「爆弾を使いたいところですが、我々が隠れる場所がありませんね」

「防御魔法でも駄目か?」


 俺が言えば、フライシャーは肩をすくめる。


「致命傷は避けられますが、吹っ飛びますよ」

「それはそれで痛そう」


 ならば魔法の出番だな。俺は扉に手を当て……これは確かに厚そう。


「解体」


 魔力を送り込み、分子レベルで解体。扉だったものは、塵となって消えた。


「すごい魔法ですね」


 フライシャーは素直に言った。一方でハンドサインは、部下たちに部屋に侵入しろと合図している。


「その魔法があれば、爆弾はいらないんじゃないですか?」

「時と場合によるんじゃないか」


 何事も。便利ではあるが、離れたところ遠隔で爆発とか、そういうことはできないから、何においても一長一短というやつだ。


 室内から銃声が響いた。中にも敵兵がいたのだろう。異空間制御装置を普段から使っているかは知らないが、管理しているエンジニアがいるかもしれない。あるいは侵入者の接近と聞いて、警備の兵を配置していたのかも。


 ともあれ、俺が部屋に足を踏み入れた時には、コマンドーが室内を制圧していた。


「どれだ?」


 俺はシェイプシフター工作員に確認する。彼は指さした。


『あちらです』


 しっかり土台に固定されている機械だった。色取り取りのランプが光り、小モニターには何かの波形が映し出されている。これで異空間を操作できるのかね?


 シェイプシフター工作員が機械に取りつき、何やら操作すると、機械の一部が操作パネルごと切り離された。


『これがこの機械の中枢です』

「その大きさなら持ち運べるってわけだな」


 ノートパソコンみたいな大きさだが、なるほどね。これが主な部品というわけだ。


「なら、目的はこれで果たせたな」


 俺がフライシャーを見れば、彼は生返事だった。


「どうした?」

「いえ、ここが中央動力炉に近いので、爆破できたらノースパークもおしまいでは、と思いまして」


 欲が出てきたか。せっかくここまで来たのだから、ついでに、ということだろう。


「まだここを破壊するかは決まっていないだろう?」


 シーパング同盟軍は、ここを拠点に利用するかもしれない。任務にも明確に破壊しろとはなかったはずだ。


「その通りです。……すいません」


 フライシャーは勇み足だったと詫びた。任務に忠実なコマンドーが、よそに気を取られてはいかんな。


「後はここを脱出するだけだ」


 目的の装置は手に入れた。長居は無用だ。撤収!


「隊長、敵が!」


 ネメジス歩兵が、この制御室に駆けつけてくる。入り口を見張っていたコマンドーが応戦する。

 退路は塞がれた。袋のねずみではあるが、転移でドロンするから問題ない。

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