↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2047/2056

第2037話、ストラーフの手掛かりを追う。


「ルカー・ストラーフ……?」


 シェールィ・カニェーツは、その名を反芻し、そして答えた。


「いいえ、知りません」


 ナチャーロ文明、最後の王妃の血を引いている娘。なおその王妃が王亡き後、当時の反乱軍の英雄クルフとやって生まれた子が、シェールィの直接の先祖だという。


 ナチャーロの姫……だったはずが、一転して反逆者の子孫となって、神聖・魔法国から亡命する羽目になったのが彼女である。


 白いフード付きのローブをまとい、アミール教のシスターをしている。……俺の本音を言うと、行事でもないのに教会には近づきたくない。それでも直接会いに行ったのは、シーパング本島にある教会ながら、電話がないから。


 では念話で、という手もあるが、彼女たちアミール教は、俺からの念話はその場で直立不動の姿勢で応じる。何時、如何なる作業中だろうが、はたまた横断歩道を渡っている時だろうが、立ち止まって念話に集中する。


 ……あの時は、事故にならなかったけど、クラクションが酷かったにもかかわらず、教会関係者は念話が終わるまでその場を動かなかったという。どうかしている。その件で教会にクレームが入ったらしいのだが――


『神との交信中は、すべてにおいて優先される。当然ではないですか』


 と、真顔で返されたという。まったく悪いとも思っていないということで、回り回って俺にクレームがきたのだから、それ以来、教会関係者に念話はいれないことにしている。


 閑話休題。

 ネオ・ナチャーロ穏健派を襲った過激派の指揮官らしい人物、ルカー・ストラーフについて、あの組織の幹部だったシェールィに聞きに行ったのだが……。


「わたしが、あの国を離れて10年経ちましたから、今は知らないことのほうが多いですよ、アミウール様」

「そうなんだろうけどね」


 10年は馬鹿にならないのは認める。だがね――


「君は幹部で、そのルカーって男も、いま将軍ってことは、10年前にもそれなりの地位にいたと考えるのが自然じゃないか?」


 当時は中堅幹部だったかもしれないけど、少なくとも幹部連中の中にいないと、将軍まで上り詰められないんじゃないの?


「確かにそうなんですけれど」


 シェールィはわずかに首を傾け、細い指で自身の顎のラインを撫でた。


「しかし、まったく記憶にないんですよね……。わたしが国を離れた後、外部から加わった方なのではないですか?」

「外部?」


 はい、とシェールィは頷いた。


「ナチャーロ文明の子孫が、あの時のグループにいた者で全員ということもありません。別のグループで活動されていた方、あるいは神聖・魔法国の存在を知った子孫が合流したのかもしれません」

「なるほど……」

「それで将軍ということは、別グループを率いるような方だったり、先祖が高名な――」


 言いかけて、シェールィの動きが止まった。


「どうした?」

「ストラーフ……。ストラーフ……?」


 急に首をかしげ、腕を組んで考え込む。何か引っかかったらしい。


「……そういえば、昔、そんな名前の将軍がいたかも」

「会ったことがある?」

「いえ、いえいえ。かつてのナチャーロ文明時代の話ですから、直接会ったことなどありません」


 シェールィは腕をブンブンと振り回した。袖が凄い。巨大なうちわで仰いでいるみたいだった。


「その昔、ストラーフという将軍がいた……ような気がします」

「気がします?」

「申し訳ありません、うろ覚えで」


 シェールィは謝罪した。なるほどね、その昔、同姓の人物がいて、その子孫らしいということか。何代も続くうちに名前も変わることもしばしばだが、シェールィの時もそうだが、案外残っているものなんだな。


 ナチャーロ文明時代の資料を調べれば、先祖だ子孫だくらいはわかるかもな。それが今のルカー・ストラーフについて、詳細がわかることはないが、手掛かりにはなりそうだ。


「ありがとう。その方面でちょっと探ってみるよ。それと――」


 話は変わるけど、かつての君のお仲間たち、そのルカー・ストラーフとその一味によって多くが殺された。


 10年前、クルフ・ラテースの血が発覚したことで、袂を分かったとはいえ、知り合いも多かっただろう。新規に加わった者たちは知らないとはいえ、古株は皆知っていたわけで。


「……ええまあ、別れの時は、さほど厳しいことを言われたわけではありませんでしたが」


 ただ、とても気まずい雰囲気で、暗に出て行けという空気はひしひしと感じたとシェールィは言った。とはいえ、その仲間だった者たちが死傷したと聞いて『ざまぁ!』というような感情は微塵も浮かばなかったようだ。


「とても残念です」


 知り合いだもんな。10年前といったって、訃報を聞けば、悲しくはなる。



  ・  ・  ・



「ありました」


 古代研究資料館の職員が、発掘資料から、ストラーフ将軍なる人物を探し出した。


「ナチャーロの東方将軍の一族で、ストラーフ家というものがあります」


 資料を撮影し、それをコピー、本にまとめたものを俺は見せてもらう。


「魔鎧機『ヴァダパート』を操る操者とあります」

「ヴァダパート」


 魔鎧機といえば、大陸戦争時に発掘されたナチャーロ文明時代の魔神機もどき。リーレとトモミが操った『ヴルカーン』『ガラー』がそうだったような。


 名だたる将に与えられるナチャーロ文明のエース。量産型の鎧機とは、パワーも能力も異なる代物だ。

 そういえば、神聖・魔法国の連中は鎧機とか魔鎧機を持っていなかったが、ナチャーロ文明の子孫というなら、こういうのを保有していてもおかしくなかったわけで……。


 ルカー・ストラーフも、ひょっとしてこの魔鎧機を持っていたりする……?

累計45万部突破! 英雄魔術師はのんびり暮らしたい@コミック、1~14巻(12巻以降は電子書籍版のみ)発売中! コロナEX、ニコニコ静画でも掲載中!

オーディオブック1巻配信中。どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リメイク版英雄魔術師、カクヨムにて連載中!カクヨム版英雄魔術師はのんびり暮らせない

ジンとベルさんの英雄時代の物語 私はこうして英雄になりました ―召喚された凡人は契約で最強魔術師になる―  こちらもブクマお願いいたします!

小説家になろう 勝手にランキング

『英雄魔術師はのんびり暮らしたい 活躍しすぎて命を狙われたので、やり直します』
 TOブックス様から一、二巻発売!  どうぞよろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。