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矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編  作者: トモサン


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77/84

35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編 77

なぜか、いつのまにか、このメンバーの中で、リーダーシップを取っている…


 しかも、違和感なく、リーダーシップを取っている…


 3歳の子供にしか、見えんにも、かかわらず、リーダーシップを取っている…


 だから、凄い…


 やはり、アラブの至宝は、凄いと、私は、思った…


 思ったのだ(笑)…


 が、


 葉敬は、違った…


 違った意見を言った…


 「…さすがだね…アムンゼン君…」


 と、言って、違う意見を出した…


 「…なにが、さすがなんですか? …葉敬さん?…」


 「…だって、アムンゼン君…キミだって、サウジアラビアの王族だろ?…」


 「…ボクが、王族? どうして、そう思うんですか?…」


 「…だって、王族のオスマンさんと、いつもいっしょに、いるんだろ? だったら、キミも王族に違いない…」


 「…ご冗談でしょ? ボクは、ただの平民です…王族なんて、そんなに偉い存在じゃ、ありません…」


 「…だったら、なぜ、王族のオスマンさんと、アムンゼン君は、いつも、いっしょにいるの?…」


 「…両親が、オスマンさんと知り合いなんです…」


 「…知り合い?…」


 「…そうです…だから、サウジアラビアから、遠く、この日本にやって来たボクの面倒を、オスマンさんは、両親に代わって、見てくれているんです…」


 「…だったら、アムンゼン君のご両親は、今、日本にいないの? ご両親は、なにをやっているの…」


 葉敬が、立て続けに、アムンゼンを質問責めにする…


 すると、それを見かねたバニラが、


 「…ちょっと、葉敬…」


 と、口を挟んだ…


 「…なんだ? …バニラ?…」


 「…いくら相手が子供でも、そう根掘り葉掘りするものじゃ、ないでしょ? アムンゼン君も、さっきから、困っているわ…」


 バニラに言われて、葉敬も、我に返ったというか…


 大人の自分が、子供のアムンゼンに対して、あまりに、露骨に、根掘り葉掘りしていることに、今さらながら、気付いた…


 「…これは、うっかりした…サウジアラビアの王族のオスマンさんと知り合いだというから、つい…」


 と、葉敬…


 「…根掘り葉掘りして、すまなかった…」


 と、葉敬は、アムンゼンに詫びた…


 葉敬は、アムンゼンに、頭を下げて、詫びた…


 「…いえ…」


 と、アムンゼンは、一言…


 次いで、


 「…葉敬さんの言われることは、わかります…」


 と、告げた…


 「…わかる? …なにが、わかるの?…」


 と、葉敬…


 「…ボクを、王族と間違えたことです…」


 「…」


 「…王族のオスマンさんと、いつも、いっしょに、いれば、ボクも、王族と思うのは、当然です…」


 「…」


 「…でも、残念ながら、ボクは、王族では、ありません…」


 アムンゼンが、否定する…


 私は、その様子を見ながら、このアムンゼンは、よくもこう自信を持って、ウソを言えるものだと、感心した(笑)…


 そして、それは、おそらく、バニラも、同じ…


 同じだった…


 アムンゼンの正体を知っている、バニラも同じだったに違いない…


 が、


 にもかかわらず、バニラを見ると、バニラは、すましていた…


 私は、なにも知らないとでも、いうような顔をしていた…


 私は、そんなバニラの態度にも、驚いた…


 驚いたのだ…


 まさか、このバニラに、そんな芸当が、できるとは、思わんかった…


 私の天敵、バカ、バニラに、こんな真似ができるとは、思わんかったのだ…


 そして、もう一人…


 この車内にいる、もう一人の大人…


 リンを見た…


 リンの表情を見た…


 リンが、どんな表情をしているのか?


 興味があったからだ…


 リンは興味津々だった…


 明らかに、興味津々な様子で、アムンゼンと、葉敬のやり取りを、見ていた…


 誰が、見ても、わかるほど、興味津々な表情で、アムンゼンと、葉敬のやり取りを、見ていた…


 いや、


 葉敬ではない…


 アムンゼンを見ていた…


 おそらく、王族のオスマンと、親交があるというアムンゼンを見ていた…


 王族と親交があるということが、たぶん、彼女の興味を引いたに違いない…


 私は、そう見た…


 私は、そう睨んだ…


 そして、私が、そう思って、彼女を、見ていると、


 「…なにを見ているの? 35歳のシンデレラ…」


 と、いきなり、私に呼びかけた…


 私は、仰天した…


 たしかに、私は、35歳のシンデレラと呼ばれたが、それは、半年前のこと…


 葉尊と結婚した半年前のことだからだ…


 日本の平凡な家庭出身の女である、私が、台湾の大財閥の御曹司の葉尊と結婚した…


 それを、評して、世間が、私を、


 「…35歳のシンデレラ…」


 と、呼んだ…


 それは、私が、35歳だから…


 だから、そう呼んだ…


 が、


 それは、半年前…


 葉尊と結婚した半年前のことだ…


 近頃、そう呼ばれたことは、ない…


 今の時代、半年前は、遠い過去…


 遠い過去の話だからだ(笑)…


 だから、私は、驚いて、


 「…よく、知っているな…」


 と、聞いた…


 「…なにを、言っているの? …お姉さん…昨日、会ったとき、言ったでしょ?…」


 リンが、笑う…


 私は、それを、聞いて、思い出した…


 昨日、リンと初めて会ったとき、リンが、

私を、


 「…35歳のシンデレラ…」


 と、呼んだことを、思い出した…


 今の今まで、昨日、このリンに会ったとき、


 「…35歳のシンデレラ…」


 と、呼ばれたことを、すっかり、忘れていた(苦笑)…

 

 要するに、このリンは、調べていた…


 今回、同伴した葉敬のこと…


 葉敬のみならず、葉敬の周囲の人間をも、調べていた…


 だから、葉敬の実子の葉尊の妻である、私のことも、調べていた…


 そういうことだ…


 そして、そのリンが、今や、アムンゼンに興味津々…


 これは、実に意味深…


 意味深だった…


 だから、私は、直球で、


 「…リンとやら…」


 と、声をかけた…


 「…なに? …お姉さん?…」


 「…オマエ…アムンゼンに興味津々のようだな…」


 私は、言ってやった…


 わざと、言ってやった…


 が、


 リンは、私の発言を軽く、受け流した…


 「…それは、お姉さん…当然でしょ?…」


 「…なにが、当然なんだ?…」


 「…だって、そのオスマンって、サウジアラビアの王族なんでしょ?…」


 「…そうさ…」


 「…だったら、そんな凄いひとと、知り合える機会なんて、滅多にあるものでも、ないでしょ? 葉敬じゃなくても、会いたくなるのが、当たり前…」


 リンが、当然のように、言う…


 そう言われると、私も言葉もなかった…


 どう言っていいか、わからんかった…


 リンの言うことは、正論…


 誰が、聞いても、当たり前のことだったからだ…


 サウジアラビアの王族…


 そんな凄い人間と知り合う機会など、普通は、滅多にあるものでは、ないからだ…


 そして、それを、思うと、さっき、このリンが、言ったことを、思い出した…


 アラブの実力者と、会いたいと言ったことを、思い出した…


 だから、


 「…良かったな…リン…」


 と、私は、リンに呼びかけた…


 「…エッ? …良かった?…」


 リンが、戸惑った…


 「…そうさ…だって、オマエは、アラブの実力者と会いたいんだろ?…」


 「…それは…」


 「…アラブの至宝と呼ばれるほどの、実力者では、ないかも、しれんが、あのオスマンだって、サウジアラビアの王族さ…きっと、偉いに違いないさ…」


 「…お姉さん…オスマンさんを知っているの?…」


 「…知ってるさ…」


 「…どんなひと?…」


 「…どんなひとと、言っても…」


 私は、しばし、考え込んだ…


 それから、


 「…長身のイケメンさ…」


 と、答えた…


 「…長身のイケメン?…」


 「…そうさ…背が高くて、いい男さ…」


 私が、答えると、リンが、考え込んだ…


 今さっきの私同様しばし、考え込んだ…


 その様子を見た、バニラが、


 「…リンさん、どうしたの?…」


 と、聞いた…


 そして、笑いながら、


 「…イケメンは、嫌い?…」


 と、聞く。


 もちろん、冗談だ…


 イケメンを嫌いな女は、いないからだ…


 これは、美人が、嫌いな男がいないのと、同じ…


 同じだ(笑)…


 が、


 リンは、バニラの質問に答えなかった…


 なにも、言わんかった…


 だから、余計に、怪しいというか…


 その様子を見た、アムンゼンが、


 「…リンさんは、イケメンが、お嫌いですか?…」


 と、聞いた…


 もちろん、冗談だ…


 イケメンが、嫌いな女が、この世の中に、いるはずが、ないからだ…


 が、


 しかしながら、アムンゼンの質問にも、リンは、答えんかった…


 答えんかったのだ…


 これは、意外…


 まさに、意外だった…


 こんなときは、誰もが、


 「…ハイ…」


 とか、


 「…ええ…」


 とか、言えば、すむ話だからだ…


 だから、余計に、リンに注目が集まった…


 車内の注目が集まった…


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