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矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編  作者: トモサン


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48/84

35歳のシンデレラ アムンゼンの初恋編 48

なぜ、リンのことなのか?


 それは、この葉敬が、大勢の人間を引き連れて、台湾から、やって来た…


 その中に、リンとつるむもの…


 あるいは、真逆に、リンを監視するものが、いるのでは、ないか?


 ふと、思ったのだ…


 なにしろ、人数が、多過ぎる…


 正直、誰が、どんな役目で、今回、葉敬といっしょに、来日したのか、わからない…


 だから、余計に、そんなことを、考えるのかも、しれない…


 これが、葉敬の側近ならば、また違うことを、言うだろう…


 なぜなら、葉敬の身近にいれば、誰が、どんな役割で、今回、葉敬といっしょに、来日したか、わかっているからだ…


 私は、今、葉敬といっしょに、この部屋にいて、そんなことを、考えた…


 そんなことを、考えたのだ…


 立ちながら、そんなことを、考えたのだ…


 すると、近くにいたリンダが、


 「…お姉さん…どうしたの?…」


 と、聞いた…


 私は、リンダを見た…


 リンダは、今、女の格好をしている…


 なぜなら、このリンダは、今、リンダ・ヘイワースとして、ここに来たからだ…


 ホントは、普段は、いつも、男装している…


 男の格好をしている…


 リンダ、いわく、その方が、楽だからだ…


 このリンダは、ハリウッドのセックス・シンボル…


 つまり、ハリウッドを代表する、いい女ということだ…


 いい女=男なら、一度でも、こんな女と寝てみたいと、思わせる女だからだ…


 だから、街中を歩くと、リンダ・ヘイワースと知らなくても、つい、見てしまう…


 実に、いい女だからだ…


 だから、疲れる…


 気疲れする…


 誰もが、見知らぬ、周囲の人間に、ジロジロ見られるのは、気疲れするものだからだ…


 だから、普段は、男装している…


 男装して、ヤンと、名乗っている…


 男装=男の格好をしているわけだ…


 しかしながら、今回は、男装は、していない…


 堂々と、リンダ・ヘイワースの格好をしている…


 つまり、おっぱいが見えそうな服と、パンツが、見えそうな短い、スカートを履いている(爆笑)…


 要するに、自分のカラダのラインをわざと、強調するような服を着ている…


 なぜなら、それが、リンダ・ヘイワースだからだ…


 ハリウッドのセックス・シンボルだからだ…


 だから、リンダ・ヘイワースで、いるときは、とことん、セクシーな服を着る…


 ハッキリ言えば、水着や下着で、歩いているようなの…


 だが、それこそが、リンダ・ヘイワース…


 ハリウッドのセックス・シンボルだからだ…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、いつしか、リンが、私と同じように、リンダを見ているのが、わかった…


 わかったのだ…


 どうして、このリンが、リンダを見ているのか?


 それは、この矢田にも、すぐにわかった…


 この二人は、似た者同士だからだ…


 このリンもまた、リンダと同じく、ド派手な格好をしている…


 まるで、水着のような衣装を着ている(爆笑)…


 やはり、目立つためだろう…


 一目見て、台湾のチアガールのリンと、わかるためだろう…


 ということは、どうだ?


 このリンも、リンダと同じく、仕事で、来ている?…


 台湾のチアガールのリンとして、来ている?…


 いわゆる、プライベートでは、来ていない?…


 私は、そう、思った…


 私は、そう、思ったのだ…


 すると、リンが、リンダに、


 「…おキレイですね…」


 と、声をかけた…


 リンダは、いきなり、リンに話しかけられて、動揺した様子だった…


 が、


 さすがは、リンダ・ヘイワース…


 ハリウッドのセックス・シンボルだけのことはある…


 すぐに、優雅に、


 「…ありがとう…」


 と、リンに礼を言った…


 すると、リンが、


 「…実は、私も一部では、アジアのセックス・シンボルと言われているんですよ…」


 と、言った…


 おそらく、リンダに対抗するために、言った…


 わざと、対抗するために、言ったのだ…


 これには、リンダも、どう答えていいか、わからない様子だった…


 明らかに、リンダが、ハリウッドのセックス・シンボルと呼ばれていることに、対抗する言葉だったからだ…


 だから、リンダは、困惑した様子で、


 「…それは、おめでとうと、言っていいものか、どうか…」


 と、言った…


 困惑した様子で、言った…


 が、


 リンは、平気だった…


 少しも、困惑した様子は、なかった…


 むしろ、堂々と、


 「…褒め言葉ですよ…これは…」


 と、言った…


 「…誉め言葉?…」


 と、リンダ…


 「…だって、そうでしょ? 男のひとから、そう言われるのって、誉め言葉でしょ?…」


 リンがあっけらかんと、言う…


 リンダは、明らかに困惑した様子だった…


 同性の、しかも、初めて会った人間に、こんなことを、言われて、どうして、いいか、わからない様子だった…


 いわば、対応に困った様子だった…


 私は、どうして、いいか、考えた…


 これを、見て、正直、助け舟を出すべきか、否か、悩んだ…


 なにしろ、目の前で、やりとりをしている…


 だから、リンダに、手を差し伸べるか、否か、悩んだのだ…


 が、


 悩んでいる暇は、なかった…


 なぜなら、いきなり、リンの矛先が、私に向かったからだ…


 「…で、35歳のシンデレラは、どう思うの?…」


 と、いきなり、リンが、私に、聞いた…


 「…セックス・シンボルって、呼ばれたい?…」


 と、直球で、聞いた…


 私は、動揺したが、なにより、頭に来た…


 この矢田をバカにするが如く、私に質問をするリンに頭に来た…


 が、


 同時に、思った…


 なぜ、このリンは、執拗に、この矢田に絡んで来るのか?


 それが、謎だったからだ…


 だから、改めて、その謎について、考えた…


 考えたのだ…


 すると、マリアが、いきなり、


 「…セックス・シンボルって、なに?…」


 と、聞いた…


 リンは、子供に言われて、一瞬、戸惑ったが、すぐに、


 「…男のひとが、いっしょに、寝たいと、思う女よ…」


 と、答えた…


 すると、


 「…だったら、矢田ちゃんは、セックス・シンボルだよ…」


 と、マリアが言った…


 それを、聞いて、私は、仰天した…


 いや、


 私だけではない…


 リンダを始め、その場にいる人間が、仰天した…


 ずばり、固まった…


 「…なんで、このお姉さんが、セックス・シンボルなの?…」


 リンが、優しく、マリアに聞く…


 3歳の子供に聞く…


 当たり前だった…


 この矢田がセックス・シンボルのわけは、ないからだ(苦笑)…


 すると、マリアが、


 「…だって、矢田ちゃんと、寝ると、あったかいんだよ…マリアもときどき矢田ちゃんと、いっしょに、寝るけど、すごく寝心地が、いいの…」


 マリアが、あっけらかんと、言う…


 それを、聞いて、爆笑したのが、葉敬だった…


 誰よりも、大きな声で、声を上げて、笑った…


 「…たしかに、そう思えば、お姉さんは、セックス・シンボルに決まっている…このお姉さんは、誰よりも、あったかい、心の持ち主だからね…」


 それを、聞いて、リンが、絶句した…


 「…」


 と、絶句した…


 きっと、言葉が、見つからないに違いなかった…


 思いがけない展開に明らかに、戸惑っていた…


 「…このお姉さんが、セックス・シンボル…35歳のシンデレラが、セックス・シンボル…」


 と、ブツブツと、独り言を言った…


 おそらく、自分でも、どうしていいか、わからない様子に見えた…


 見えたのだ…


 そして、葉敬が、優しく、


 「…リンさんは、お姉さんが、羨ましいの?…」


 と、聞いた…


 直球で、聞いた…


 このリンに直球で、聞いたのだ…


 その質問に、リンは、固まった…


 明らかに、固まった…


 あまりの直球の質問に、リンは、どう答えていいか、わからない様子だった…


 自分でも、どう答えていいか、わからず、葉敬の質問に固まっていた…


 が、


 しかしながら、答えないわけには、いかない…


 葉敬の質問だからだ…


 だから、答えないわけには、いかない…


 無視することは、できなかった…


 「…どうして…どうして、そう思うんですか?…」


 と、まるで、声を振り絞るかのように、葉敬に、聞いた…


 小さく、聞いたのだ…


 そこには、つい今の今まで、この矢田にケンカを売るが、如く、ケンカ腰の態度は、微塵もなかった…


 なかったのだ…


 「…どうしてって、だって、リンさんは、ずっと、このお姉さんに、ケンカを売っているだろ?…」


 葉敬が、優しく、言う…


 「…一体、どうして、ケンカを売っているんだい? リンさんは、このお姉さんと、初対面だろ? …面識は、ないはずだ…」


 葉敬の質問に、リンは、答えられなかった…


 「…」


 と、押し黙ったままだった…


 「…このお姉さんが、羨ましい? …一般の家庭の出身のお嬢さんが、葉尊と、結婚したのが、羨ましい? だから、お姉さんに、ケンカを売っている? 自分が、葉尊と、結婚できなかったから、ケンカを売っている?…それとも…」


 「…」


 「…それとも、誰かに頼まれた? …このお姉さんに、わざと、ケンカを売って、私を困らせてやれと、でも、依頼を受けた?…」


 葉敬が、言う…


 お義父さんが、言う…


 仰天の言葉を言う…


 それまで、考えたことのない言葉を、言った…


 私は、驚いた…


 まさに、想定外の言葉だったからだ…


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