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翌日、いつものように売店でチョコボールを買って席に戻ると、松田くんがチョコボールの箱と同じくらい、ぽかんと口を開いていた。
「え、何?」
「いや、なんか昨日怒ってたからもう手伝ってくれないのかと思ってた」
「怒ってないよ別に」
「怒ってたでしょ。怒ってたよね?」
松田くんが自分の手元のチョコボールに話しかける。そしていつもの口パクをやり始めようとしたので、松田くんの手ごとくちばしを引っ叩いた。
「いったあ! 怒ってるじゃん!」
「今のはその腹話術に怒っただけ! それイライラするからやめて。てかなんでピーナッツ味なの」
「いやキャラメル歯にくっつくからやめた」
「キャラメルの方が当たりやすいんじゃないの」
「関係あるわけないじゃん」
お前が言ったんだろ! とまた叫びたくなるのをこらえて、嫌味で返した。
「あーあ、今日のキャラメル味は当たりだったかもしれないのにね。てか手伝ってあげてるんだから先に1人で外れ確認するのやめてよ。待っててよ」
そして自分のくちばしにも何も刻まれていないことを確認する。それを見て、松田くんが本当にキャラメルが当たりだったかも、と深刻そうな顔でつぶやくので笑ってしまった。
「え、ねえホントに実家駄菓子屋なの?」
「そう。でも駄菓子だけじゃなくて、昨日も言ったけど、ポケカとかそういう子ども向けの品を売ってる感じ」
「そっか。なんかごめん、食べていけないとか言って」
「別にいいよ。実際俺が死ぬまで持つとは思ってないし。俺も、春田さん受験なのに配慮できてなくてごめん」
「全然。私が勝手に県外目指して実力足りてなくて勝手に焦ってるだけだし」
けっこう息抜きになってます、といちご味のくちばしをパクパクさせる。松田くんが微笑んでパクパクし返そうとしてきたので、もう一度手ごと引っ叩いておいた。




