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結局、そんな心配は不要だったのだけれど。

今日は売店で鉢合わせたので、一緒に教室へ戻りながら早速廊下で外れを確認していた。


「そりゃ自分で出せたら嬉しいけどさ、ここまで沼るともうどんな手使っても欲しいっていうか」

「そんなに? なんかメルカリとか売ってるんじゃない?」

「いやそれはなんかちょっと。せめて正規の手段で手に入れたい」

「私が代わりに当てるのは正規の手段なの?」

「俺のために買ってくれてるんだから正規の手段でしょ」

「そっか」


俺のために、とか付き合っていない男子から言われるとはまさか思っていなかったので鳥肌が立つ。とはいえ間違いではないので、腕を掻くようにさすりながら会話を続けた。


「てかさーもう2学期終わるじゃん、やばいよね。もう次3年だよ」

「あー春田さん進学組だもんね。そろそろ本格的に受験勉強始まるじゃん」

「いやもう始まってるから、全然もう本格的だから。てか松田くん受験しないの?」

「いや俺実家継ぐから」

「え、実家何?」

「駄菓子屋だけど」


はあ!? と廊下中に響く声を出してしまった。


「いや嘘でしょ。嘘だよね?」

「嘘じゃないよ」

「嘘。今どき駄菓子屋? しかも継ぐの? 意味分かんない、食べていけないでしょ」

「大丈夫だよ、ポケカとか売ってるし」


呑気そうにチョコボールを口に運ぶ松田くんのことが、とてつもなく恨めしく思えてくる。


「うわ、キャラメルめっちゃ歯に詰まった。やっぱ俺も」

「ていうかさ、それ実家の在庫全部開けたら銀どころか金絶対あるでしょ」

「いやだから正規の手段で」

「どうでもいいわ!」


呆然とする松田くんを置いて、大股で歩き出す。月島が爆笑しながら隣にやってきた。


「痴話喧嘩やばすぎるって」

「全然違うから。駄菓子屋と一緒にしないでほしい」

「辛辣だなー。てか駄菓子屋ってまだあるんだね」

「ホントだよ。やっぱり田舎すぎる、こんな街早く出ないと」


それなー、と月島が呟く。私はくちばしを箱から外れるまで開くと、いちご味を一気に口のなかに流し込んだ。

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