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「だから俺は、キャラメル味しか買わないことにしてるの」
「いちご味じゃダメなの?」
「いちごはダメだよ。ピーナッツと変わんないじゃん。キャラメルだからエンゼルが出やすいんだよ」
「でもこの半年毎日キャラメル味食べて銀のエンゼル出てないんでしょ?」
「それは……そうだけど」
松田くんがキャラメル味の箱のくちばしを上げる。今日もエンゼルはいない。
「運悪いよねー、松田くん」
私もいちご味のくちばしを上げる。が、結果は同じだった。
「春田さんもね」
松田くんが箱のくちばしをパカパカさせながら言い返してくる。私が最初にそのやり方でおちょくっていたら、向こうもやり返すようになってきた。ちょっとうざい。
「春田ー」
「あー月島、今日も2人とも外れたー」
「またかよ、全然松田くんの役に立ててないじゃん」
月島が名前を出すと、松田くんは、じゃ、と言い残してチョコボールを食べながら教室を出て行った。月島は男子からするとちょっと怖いようで、松田くんのように距離を取っている人が多い。
「あーなんか行っちゃった。ごめんね、2人でチョコボール食べてたのに」
「いや別に2人で一緒に食べてはないし。銀のエンゼル出す手伝いしてるだけ。食べる?」
「もらうー。やっぱいちご美味しいよね」
「分かる。てかいちごが美味しいっていうか、キャラメルが苦手すぎて松田くん意味分かんない」
可哀想だろ、と月島が笑う。
「てかエンゼル私も協力しようかな。春田がいちごで松田くんがキャラメルなら私が普通のやつ買えば一番当たる確率高いんじゃね?」
「え? あー」
「あーでも春田自分でエンゼル出して松田くんに渡したいか」
「いや別にそんなゲキオモ感情無いから。じゃあ月島も買って協力してよ、もう私も2週間くらいチョコボール食べてるんだけど」
「いや、いいわ。チョコボール食べるなら普通にじゃがりこ食べるし」
やっぱチーズでしょ、と月島が売店へと去っていく。
私はチョコボールをつまみながら、そういえば松田くんは私が代わりに最後のエンゼルを出しても嬉しいのだろうか、と今更な心配をするのだった。




