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第九十二話

第92話

赤の未来


王都ルミナリア、王城の朝。

青空が広がっていた。

中庭には七人が集まっていた。

バルドックが腕を組む。

「で?」

「次はどこ行く?」

ガルヴァンが言う。

「南」

セレスティアが本を見ながら言う。

「古代遺跡があります」

エリシアが笑う。

「また冒険だね」

リュカは少しワクワクしていた。

その時、後ろから声がした。

「待て」

振り向く。

アルベルト。

そしてセレスティアだった。

アルベルトが言う。

「出発前に」

「話しておくことがある」

リュカは首を傾げる。

セレスティアが小さく笑った。

「王国の事情です」

アルベルトは少し困った顔をする。

「実は」

「俺とセレスティアには」

「婚約の話があった」

リュカが驚く。

「え!?」

エリシアも目を丸くする。

「そんなの初耳」

セレスティアが肩をすくめる。

「王家と魔導院の政治ですね」

バルドックが笑う。

「ありがちなやつだな」

アルベルトは続けた。

「だが」

「正式なものではない」

セレスティアが頷く。

「ええ」

「研究院も」

「今回の戦争で状況が変わりました」

そして、少し笑う。

「私は研究者です」

「王妃になるつもりはありません」

リュカが少しほっとする。

アルベルトが言う。

「婚約の話は」

「正式に白紙になった」

エリシアが小声で言う。

「よかったね」

リュカは少し赤くなる。

アルベルトがリュカを見る。

そして言う。

「私は」

「自分で未来を決めたい」

短い沈黙。

リュカは少し考えて

笑った。

「じゃあ」

「まずは冒険だね」

バルドックが笑う。

「それでいい!」

ガルヴァンが頷く。

「旅」

セラフィーナが言う。

「世界は広いです」

セレスティアが手帳を閉じる。

「記録も続きます」

王城の門。

七人は外へ歩き出す。

街道に風が吹く。

リュカは空を見上げた。

そして少し笑う。

昔は思っていた。

「私なんて何もできない」

でも今は違う。

仲間がいる、旅がある、

未来がある。

アルベルトが言った。

「行こう」

リュカが頷く。

「うん!」

七人は歩き出す。

新しい冒険へ。

遠くの王城。

図書室。

セレスティアが机に座っていた。

ペンを持つ。

一冊の本の表紙に

タイトルを書く。

アルヴェリア王国物語

セレスティアが小さく呟く。

「これは」

「王国を救った冒険者たちの記録」

窓の外。

遠くの街道。

七人の姿が

小さく見える。

最後の一文。


これは


アルヴェリア王国の歴史に残る


小さな冒険者たちの物語。


後に


『アルヴェリア王国物語』と呼ばれる記録である。


第一部、完。

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