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第九十一話

第91話

王子の本音


王都ルミナリア。

夜の王城。

静かな風が

城のテラスを通り抜けていた。

リュカは手すりにもたれて

王都の灯りを見ていた。

街は平和だった。

戦争の気配はもうない。

その時、後ろから足音がした。

振り向く。

アルベルトだった。

「こんなところにいたのか」

リュカが笑う。

「ちょっと散歩」

アルベルトも手すりに立つ。

しばらく二人は黙っていた。

王都の夜景を見ている。

やがてアルベルトが言った。

「初めて会った時」

リュカを見る。

「覚えているか」

リュカは少し笑った。

「覚えてるよ」

「森で魔物に追いかけられてた」

アルベルトが小さく笑う。

「あの時は」

「危なっかしい子だと思った」

リュカが頬を膨らませる。

「ひどい」

アルベルトは続ける。

「だが今は違う」

真剣な声。

「君は王国を救った」

リュカは少し照れた。

「みんなのおかげだよ」

アルベルトは首を振る。

「それでも」

「君がいたから勝てた」

少し沈黙。

夜風が吹く。

アルベルトは空を見た。

「俺は王子だ」

静かな声。

「王国のために生きる」

リュカは黙って聞いている。

アルベルトは続けた。

「だが」

リュカを見る。

「それでも」

「一人では何もできなかった」

リュカが小さく言う。

「そんなことない」

アルベルトは笑った。

「ある」

そして

少しだけ真剣な顔になる。

「リュカ」

リュカが顔を上げる。

アルベルトは言った。

「これからも」

「一緒に旅をしてくれないか」

リュカは驚く。

「え?」

アルベルトが続ける。

「王子としてではなく」

「仲間として」

そして

少しだけ照れながら言う。

「君となら」

「どこへでも行ける気がする」

リュカは少し考えた。

そして

笑った。

「うん」

アルベルトを見る。

「私も」

「アルとなら」

「どこでも行ける」

夜の王都。

静かな風。

二人の距離が

少しだけ近くなった。

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