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第八十九話

第89話

凱旋


聖峰アウレリア。

雪の山を七人はゆっくり下りていた。

戦いは終わった。

黒月の主ゼルヴァ。

その闇は完全に消えていた。

リュカは空を見上げる。

青い空。

静かな風。

「終わったんだね」

エリシアが微笑む。

「うん」

ガルヴァンは短く言う。

「静か」

バルドックが笑った。

「戦争の後はこんなもんだ」

セレスティアは

小さな手帳に何かを書いていた。

リュカが聞く。

「何書いてるの?」

セレスティアが少し照れる。

「記録です」

「この戦いの」

セラフィーナが山を見つめる。

「聖峰も落ち着きました」

アルベルトは

少し前を歩いていた。

王国の方向を見ている。

「王都へ戻ろう」

数日後。

王都ルミナリア、城門の前。

人々が集まっていた。

騎士団。

市民。

兵士。

その中心に

レオニール国王が立っている。

城門が開く。

アルベルトたちが現れた。

一瞬の静寂。

そして

歓声が上がった。

「英雄だ!」

「黒月を倒した!」

「王国を救った!」

リュカは驚いた。

「すごい……」

エリシアが笑う。

「みんな待ってたんだよ」

レオニール国王が前に出る。

アルベルトを見る。

「よくやった」

アルベルトは膝をついた。

「任務を果たしました」

国王は頷いた。

そして

ゆっくりリュカを見る。

赤い短剣。

赤魔法の少女。

レオニール国王が言った。

「お前の力が」

「王国を救った」

広場の人々が頷く。

「赤魔法の英雄だ!」

「ありがとう!」

リュカは戸惑っていた。

こんな風に言われたことはない。

自分はただ戦っただけ。

仲間と一緒に。

エリシアが小さく言う。

「リュカ」

「胸張って」

リュカは少しだけ笑った。

まだ少し照れながら。

だが、心の奥で何かが

少し変わり始めていた。

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