第八話
第8話
冒険者ギルド
アルが扉を押し開けた。
ギィ……
重たい木の扉が開く。
その瞬間――
「おい見ろ!」
「新入りか?」
「嬢ちゃんじゃねぇか!」
大きな声が一斉に響いた。
リュカは思わずアルベルトの後ろに隠れる。
中には多くの人がいた。
剣を持った男。
弓を背負った女。
鎧姿の戦士。
皆、武装している。
アルベルトは慣れた様子で歩く。
「気にするな」
リュカは小さく頷いた。
ギルドの奥には長いカウンターがあった。
その向こうに一人の女性が立っている。
茶色の髪をまとめた女性。
柔らかい笑顔。
「いらっしゃいませ」
受付嬢だった。
「冒険者ギルドへようこそ」
アルが言う。
「登録したい」
受付嬢が頷く。
「新規登録ですね」
それからリュカを見る。
「こちらの方も?」
アルベルトが答える。
「ああ」
リュカは少し緊張していた。
受付嬢は優しく笑う。
「大丈夫ですよ」
紙を差し出す。
「名前を書いてください」
リュカはぎこちなくペンを握った。
そして書く。
リュカ
受付嬢が確認する。
「リュカさんですね」
それから説明を始めた。
「冒険者にはランクがあります」
後ろの掲示板を指差す。
そこには依頼書がびっしり貼られていた。
受付嬢が説明する。
「一番下がFランク」
「雑用の依頼です」
「その上がEランク」
「弱い魔物討伐など」
リュカは真剣に聞いていた。
受付嬢は続ける。
「Cランク以上になると」
「危険な魔物討伐になります」
アルベルトが横で言う。
「最初はFランクからだな」
リュカは頷く。
受付嬢が小さな金属のプレートを差し出す。
「これが冒険者証です」
小さな銅のプレート。
そこには番号が刻まれている。
「なくさないでくださいね」
リュカはそれを受け取った。
少し重い。
でも。
不思議と嬉しかった。
アルベルトが掲示板を見る。
「初依頼やるか」
リュカが聞く。
「どんなの?」
アルベルトは一枚の紙を取る。
そして読み上げた。
「薬草採取」
報酬
銅貨5枚
リュカは少し驚く。
「薬草?」
受付嬢が頷く。
「町の外の森で取れます」
アルベルトが笑う。
「リュカなら簡単だ」
リュカは少し考えて――
頷いた。
「やる」
受付嬢が依頼書に印を押す。
「では、初依頼ですね」
優しく微笑む。
「頑張ってください」
リュカは小さく息を吸った。
六年前。
村を追い出された少女。
家もなく。
一人で森を生きた。
でも今。
リュカは胸の前で
冒険者証
を握りしめた。
新しい人生が
少しずつ
始まっていた。




