第七十三話
第73話
黒月の幹部
王都地下通路、巨大な黒い魔法陣。
その前に
三人の黒ローブが立っていた。
リュカが短剣を構える。
赤い魔石が光る。
アルベルトが言う。
「黒月か」
中央の男が一歩前に出た。
フードを外す。
若い男。
だが
目は冷たい。
「その通り」
静かな声だった。
セレスティアが小さく言う。
「魔力量……強い」
男は軽く笑った。
「さすが研究院の魔導師」
アルベルトが剣を向ける。
「王都の地下で何をしている」
男は魔法陣を見た。
「準備だ」
短い言葉。
バルドックが言う。
「何の?」
男は答えた。
「王都を変える準備」
その言葉に
空気が凍る。
ガルヴァンが低く言う。
「危険」
男は続けた。
「だが」
「まだ完成ではない」
そして
軽く肩をすくめた。
「だから」
「ここで邪魔されるわけにはいかない」
男の後ろの二人が
杖を掲げる。
黒い魔力が集まる。
セレスティアが叫ぶ。
「来ます!」
アルベルトが言う。
「戦闘!」
影の魔法が放たれる。
「シャドウランス!」
黒い槍が飛ぶ。
ガルヴァンが大剣で弾く。
ドン!
バルドックが爆弾を投げる。
ドォン!!
爆発後通路に煙が広がる。
リュカが叫ぶ。
「赤火!」
炎が飛ぶ。
一人の黒ローブに直撃した。
だが
中央の男は動かない。
そのまま手を掲げた。
「ダークウォール」
黒い壁が出現し、炎が消える。
エリシアが言う。
「強い……」
男はゆっくり名乗った。
「私は」
「黒月幹部」
少し笑う。
「レイヴァン」
セラフィーナが小さく言う。
「幹部……」
レイヴァンは魔法陣に手を触れた。
黒い光が広がる。
「今日は挨拶だ」
アルベルトが叫ぶ。
「止めろ!」
だが魔法陣が一瞬強く光る。
ゴォォ……
地下通路が震え、そして
光は消えた。
レイヴァンは後ろに下がる。
「王都の夜を楽しみにしていろ」
黒い霧。
シャドウゲート。
三人の姿が消えた。
静寂。
リュカが呟く。
「逃げた……」
セレスティアが魔法陣を見る。
「今のは」
「起動試験です」
アルベルトの表情が険しくなる。
王都の地下。
巨大魔法陣。
そして
黒月の幹部。
王都は確実に危険へ近づいていた。




