第六十八話
第68話
黒衣の魔導師
王城地下通路。
崩れた壁の向こう。
黒ローブの人物が
暗い通路を走っていた。
アルベルトが叫ぶ。
「追う!」
七人は瓦礫を越え
奥へ進む。
通路は迷路のようだった。
曲がり角。
古い扉。
崩れた石壁。
ガルヴァンが前を走る。
「右」
獣人の感覚が
逃げた気配を追っていた。
リュカも走りながら言う。
「速い」
その時。
前方の通路で
黒ローブの人物が止まった。
ゆっくり振り向く。
フードの奥。
顔は影に隠れている。
アルベルトが剣を構える。
「王城に侵入した理由を聞こう」
黒ローブの男は
低く笑った。
「……王子か」
リュカが驚く。
「知ってる?」
男は言った。
「有名だからな」
「アルヴェリア第二王子」
アルベルトの目が細くなる。
男は手を掲げた。
黒い魔力が集まる。
セレスティアが叫ぶ。
「黒魔法!」
男が唱える。
「シャドウランス」
影の槍が飛ぶ。
アルベルトが剣で弾く。
ガルヴァンが前に出た。
「戦う」
黒ローブは続けて魔法を放つ。
「ダークブラスト!」
黒い爆発。
ドォン!!
通路が揺れる。
リュカが叫ぶ。
「赤火!」
炎が飛ぶ。
ドン!
黒ローブは横へ跳んだ。
「ほう」
興味深そうな声。
「赤魔法」
セレスティアが小さく言う。
「知られてる……」
黒ローブは笑った。
「もちろんだ」
「赤魔法の少女」
「我々の目的にも関わる」
アルベルトが低く言う。
「我々?」
男は答えなかった。
代わりに
足元に魔法陣を描く。
「シャドウゲート」
黒い霧が広がる。
ガルヴァンが走る。
「逃がさない」
だが
霧が男を包んだ。
消える直前。
男は言った。
「覚えておけ」
「**黒月**の名を」
そして
影の中に消えた。
静寂。
リュカが呟く。
「黒月……」
セラフィーナが静かに言った。
「闇の組織です」
アルベルトは通路の奥を見ていた。
王城地下。
そこに
闇の影が入り込んでいる。
そして
その影は
確実に
王国へ近づいていた。




