第五十四話
第54話
北へ
王都ルミナリア。
朝。
七人のパーティーは城門の前にいた。
門の外には広い街道が続いている。
リュカは振り返った。
大きな城壁。
白い塔。
王都の街並み。
「出発だね」
セレスティアが言う。
「研究院の外に長く出るのは初めてです」
少し楽しそうだった。
バルドックは荷物を背負う。
「山なら鉱石もあるだろうな」
ガルヴァンが門の外を見ていた。
「北は寒い」
エリシアがリュカのマントを整える。
「ちゃんと着て」
「風邪ひくよ」
リュカが笑う。
「子供じゃないよ」
エリシアも少し笑った。
アルベルトが全員を見た。
「三日で山に入る」
「途中の町で補給する」
皆が頷く。
その時。
後ろから声がした。
「アルベルト殿下」
振り向く。
王国兵だった。
鎧を着た騎士。
アルベルトは少し眉を動かす。
「どうした」
騎士は小さく頭を下げた。
「北部の異変」
「王城でも報告が上がっています」
アルベルトの目が鋭くなる。
「魔物か」
騎士が頷く。
「数が増えています」
セラフィーナが小さく言う。
「やはり……」
均衡の乱れ。
アルベルトは軽く息を吐いた。
「分かった」
騎士はもう一度頭を下げた。
「お気をつけて」
門が開く。
ギィ……
七人は歩き出した。
王都の外へ。
広い草原。
遠くに見える山。
リュカは空を見上げた。
「冒険だね」
バルドックが笑う。
「今まで何してたんだ」
リュカも笑う。
でも今回は少し違う。
王都の外。
北部山岳地帯。
そこは
かつて戦争があった場所。
ガルヴァンが低く言った。
「魔物の土地だ」
アルベルトも前を見ていた。
そして言う。
「警戒して進む」
七人の影が
北へ伸びていく。
その先にあるのは
新しい戦い。
そして
赤魔法の運命だった。




