第四十九話
第49話
王都の地下
翌朝。
王都ルミナリア。
まだ人通りの少ない早朝の街を
六人は歩いていた。
アルベルト。
リュカ。
エリシア。
ガルヴァン。
バルドック。
そして――
聖女セラフィーナ。
リュカは少し緊張していた。
「地下って…」
「ちょっと怖いね」
エリシアが優しく笑う。
「大丈夫」
「私もいるし」
軽く頭を撫でる。
リュカは少し安心した顔になる。
その様子を見て
バルドックがニヤニヤする。
「完全に妹扱いだな」
エリシアは少しだけ笑う。
「妹だもの」
ガルヴァンが前を歩きながら言う。
「入口だ」
石畳の道の端。
鉄の格子の蓋。
王都の地下水路の入口だった。
アルベルトが蓋を持ち上げる。
ギィ……
暗い穴が口を開けた。
冷たい空気が流れてくる。
バルドックが言う。
「典型的な地下水路だな」
ガルヴァンは静かに覗き込む。
「魔力ある」
アルベルトが頷いた。
「間違いない」
六人は地下へ降りる。
石の階段。
湿った空気。
足音が反響する。
やがて通路に出た。
古い石造りの水路。
水がゆっくり流れている。
リュカは魔導短剣を握った。
赤い魔石がかすかに光る。
「……暗い」
エリシアが言う。
「光灯」
白い光が灯る。
通路が明るくなる。
その時。
ガルヴァンが止まった。
耳がピクリと動く。
アルベルトが聞く。
「どうした」
ガルヴァンは前を見ていた。
「音」
低い声。
「複数」
リュカも耳を澄ます。
……ザ……
……ザ……
影が動く。
暗闇の奥。
黒い塊。
一つ。
二つ。
三つ。
いや――
もっと。
バルドックが言う。
「おいおい」
「多すぎるぞ」
シャドウ。
影の魔物。
通路の奥から
次々に現れる。
アルベルトが剣を抜いた。
「戦闘準備」
リュカが短剣を構える。
「赤火!」
炎が灯る。
その時。
セラフィーナが静かに言った。
「待ってください」
皆が見る。
セラフィーナは
さらに奥を見ていた。
その表情は
いつもより少し厳しい。
「これは……」
小さく呟く。
「誰かが」
「呼んでいます」
アルベルトの目が鋭くなる。
「召喚魔法か」
その瞬間。
地下の奥で
黒い魔力が脈動した。
ドクン
ドクン
まるで心臓のように。
そして
暗闇の奥から
低い声が響いた。
「……ようやく来たか」
誰かがいる。
王都の地下に。
魔物を生み出している
黒幕が。




