第四十六話
第46話
光と赤
大神殿の広場。
シャドウの魔物は完全に消えていた。
人々はまだざわめいている。
神官たちが周囲を落ち着かせていた。
その中心に立っているのは
白いローブの少女。
聖女セラフィーナ。
セレスティアが小さく言った。
「本物だ……」
エリシアも頷く。
「聖女様ですね」
リュカは少し緊張していた。
さっき。
セラフィーナは
自分を見て
「赤」と言った。
その意味が分からない。
その時。
セラフィーナがゆっくりこちらへ歩いてきた。
神官たちが驚く。
「聖女様?」
だが彼女は止まらない。
リュカの前で立ち止まった。
静かな瞳。
優しい表情。
そして言う。
「あなた」
リュカは少し慌てた。
「えっと……」
セラフィーナが微笑む。
「赤魔法使いですね」
リュカは小さく頷いた。
「うん」
その時。
セラフィーナの目が少し輝いた。
「やっぱり」
エリシアが聞く。
「分かるんですか?」
セラフィーナは頷いた。
「聖魔法は」
「魔力の流れを感じます」
リュカを見つめる。
「白と黒」
「両方の魔力」
「とても珍しいです」
リュカは少し恥ずかしかった。
でも。
怖がられてはいない。
むしろ――
興味を持たれている。
セラフィーナが言った。
「私はセラフィーナ」
「大神殿の聖女です」
軽く頭を下げる。
アルベルトが答える。
「アルベルトだ」
「冒険者だ」
セラフィーナは彼を見た。
少しだけ考えるような表情。
だが何も言わない。
そしてリュカを見る。
「あなたの魔力」
「とても不思議です」
リュカが聞く。
「不思議?」
セラフィーナは空を見上げた。
「光と闇」
「普通は反発します」
でも。
リュカの魔力は違う。
「……均衡」
小さく呟く。
それは
光輪神アウレリアの教え。
世界の均衡。
セラフィーナは優しく言った。
「また会いましょう」
「赤魔法使いさん」
そう言って
神殿へ戻っていく。
白いローブが風に揺れた。
リュカは少し呆然としていた。
「すごい人だった……」
セレスティアが興奮していた。
「聖女と赤魔法!」
「歴史的です!」
バルドックが笑う。
「大げさだな」
アルベルトは神殿の塔を見ていた。
聖女セラフィーナ。
その存在は
王都でも特別だ。
そして今。
赤魔法使いと
静かに繋がった。
まだ小さな縁。
だがそれは
未来で
大きな運命になる。




