第四十三話
第43話
ドワーフの鍛冶
王都ルミナリア。
鍛冶通り。
金属を叩く音が響いていた。
カン!
カン!
カン!
リュカは目を輝かせていた。
「すごい……」
通りの両側には鍛冶屋が並んでいる。
剣。
槍。
鎧。
様々な武器が並んでいた。
バルドックが歩きながら言う。
「王都は鍛冶の中心だ」
やがて一軒の店の前で止まる。
看板には
ドワーフの戦鎚
そう書かれていた。
バルドックが扉を押す。
「ただいま」
店の中は広い。
奥には大きな炉。
赤い炎が燃えている。
リュカは少し緊張していた。
「ここで作るの?」
バルドックが笑う。
「当たり前だ」
炉に薪をくべる。
炎が強くなる。
ゴォォ……
ドワーフの目が鋭くなった。
「嬢ちゃん」
「魔石出せ」
リュカは袋から取り出す。
トロール魔石。
ワイバーン魔石。
バルドックが頷いた。
「いい材料だ」
炉の上に置く。
金属も用意する。
銀色の鋼。
バルドックが言う。
「これは魔導鋼」
「魔力を通す金属だ」
ハンマーを握る。
重い戦鎚とは違う。
鍛冶用のハンマー。
バルドックが深く息を吸った。
「始めるぞ」
赤く熱された金属を
炉から取り出す。
トン!
金床の上に置く。
そして――
カン!!
ハンマーが振り下ろされた。
火花が散る。
カン!
カン!
カン!
力強い音が響く。
リュカは息を呑んで見ていた。
バルドックの動きは
まるで踊るようだった。
金属が形を変えていく。
短剣の形。
刃。
柄。
そして――
最後に魔石をはめる。
トロール魔石を核に。
ワイバーン魔石を補助に。
バルドックが低く言った。
「魔力を流せ」
リュカが驚く。
「私?」
「そうだ」
「お前の武器だ」
リュカはゆっくり手を伸ばす。
短剣に触れる。
そして。
魔力を流す。
赤い光。
白と黒が混ざる魔力。
その瞬間。
魔石が輝いた。
バルドックが叫ぶ。
「今だ!」
最後の一撃。
カン!!
ハンマーが叩きつけられる。
炎が一瞬大きく揺れた。
そして。
静寂。
バルドックが短剣を持ち上げた。
刃は美しい銀色。
中心には赤い魔石。
かすかに光っている。
ドワーフは笑った。
「完成だ」
リュカの胸が高鳴る。
バルドックが差し出した。
「持ってみろ」
リュカはゆっくり受け取る。
不思議だった。
軽い。
でも力を感じる。
バルドックが言った。
「魔導短剣」
「お前専用だ」
リュカは小さく呟いた。
「すごい……」
その時。
入口の扉が開いた。
アルベルトが入ってくる。
「出来たか?」
バルドックが笑う。
「見てみろ」
リュカが少し照れながら言う。
「アル」
「できた」
アルベルトは短剣を見た。
そして笑った。
「似合ってる」
リュカの顔が少し赤くなる。
こうして。
赤魔法使いの少女は
自分だけの武器
を手に入れた。
その刃は
これから多くの運命を
切り開いていくことになる。




