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第四十一話

第41話

同じ空の下


王都ルミナリア。

夕暮れ。

リュカは城壁の上から街を見ていた。

赤い空。

屋根が並ぶ大きな街。

遠くには白い城。

ソル・アルヴェル宮。

アルベルトが住む場所。

リュカは小さく呟いた。

「……王子」

その言葉がまだ信じられない。

アルはただの旅の剣士じゃなかった。

王国の第二王子。

自分とは

まるで違う存在。

リュカは俯いた。

「私……」

村を追放された少女。

忌み子。

そんな自分が

王子と一緒に旅していたなんて。

その時。

後ろから声がした。

「ここにいたか」

振り向く。

アルベルトだった。

鎧ではなく

いつもの旅装束。

リュカが少し戸惑う。

「……アル」

アルベルトは隣に立った。

同じ景色を見る。

しばらく沈黙。

風が吹く。

やがてリュカが言った。

「王子様だったんだね」

アルベルトは苦笑した。

「まあな」

リュカは少し笑った。

でも。

その笑顔は少し寂しい。

「私」

「知らなかった」

アルベルトは静かに言った。

「言わなかった」

リュカが聞く。

「どうして?」

アルベルトは少し考えた。

それから答える。

「王子だと」

「普通に話せなくなる」

リュカは黙った。

それは確かにそうだ。

今だって

少し距離を感じている。

アルベルトがリュカを見た。

「リュカ」

その声は

旅の時と同じだった。

「俺は」

「お前と旅をしたかった」

王子としてではなく。

一人の冒険者として。

リュカはゆっくり顔を上げた。

アルベルトは笑っていた。

「それに」

「俺はまだ王じゃない」

軽く肩をすくめる。

「ただの第二王子だ」

リュカは少し笑った。

「それでも王子だよ」

アルベルトも笑う。

「そうだな」

また沈黙。

夕日が沈みかけている。

リュカは空を見た。

「アル」

「これからも」

少し迷う。

でも言った。

「一緒に冒険してもいい?」

アルベルトはすぐ答えた。

「ああ」

そして真っ直ぐ言う。

「むしろ」

「してほしい」

リュカの胸が少し温かくなる。

王子でも。

冒険者でも。

アルは

アルだった。

遠くで鐘が鳴る。

王都の夕暮れ。

その空の下で。

追放された少女の旅は

まだ続いていく。

そして――

彼女はまだ知らない。

この先

自分が

王妃になる未来を。

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