第三十二話
第32話
旅立ち
翌朝。
町の門の前。
五人は荷物を整えていた。
アルベルトは背中の剣を確認する。
ガルヴァンは大剣を背負い直した。
バルドックは大きな袋を持っている。
中にはトロール素材。
リュカは少し落ち着かない様子だった。
エリシアが優しく聞く。
「緊張してる?」
リュカは小さく頷いた。
「王都……」
今まで森と小さな町しか知らない。
王都は別世界だ。
アルベルトが言った。
「距離は三日」
「街道を通れば安全だ」
ガルヴァンが門の外を見ている。
「魔物は少ない」
バルドックが笑う。
「退屈な旅になりそうだな」
リュカは少し笑った。
その時。
町の兵士が門を開けた。
ギィ……
重たい音。
広い街道が続いている。
遠くの地平線まで。
アルベルトが言った。
「行くぞ」
五人は歩き出す。
王都ルミナリアへ向かう旅。
昼頃。
街道を歩いていた。
左右には草原。
遠くには森。
空は青い。
リュカは景色を見ていた。
「広い……」
エリシアが笑う。
「ルミナ大陸は広いわ」
バルドックが言う。
「王都はもっとでかいぞ」
アルベルトが説明する。
「城」
「大神殿」
「魔導研究院」
「全部ある」
リュカの目が輝いた。
「見てみたい」
ガルヴァンが突然足を止めた。
耳が動く。
「……音」
アルベルトが聞く。
「何だ?」
ガルヴァンは空を見上げた。
その瞬間。
影が通り過ぎる。
大きな影。
リュカが見上げる。
「え……」
空を飛んでいた。
巨大な翼。
長い尾。
鋭い爪。
ワイバーン。
アルベルトの表情が変わる。
「Bランク魔物……」
ワイバーンが旋回する。
鋭い咆哮。
「ギャオオオ!」
地面に影が落ちる。
旅は始まったばかりだった。
だが――
最初の大事件が
すぐ目の前に迫っていた。




