第三十一話
第31話
王都への道
夕方。
五人は洞窟を出た。
森の外へ出ると、空が赤く染まっている。
リュカは大きく息を吸った。
「外だ……」
エリシアが微笑む。
「長い探索でしたね」
アルベルトは周囲を確認した。
もう魔物の気配はない。
「町へ戻ろう」
バルドックが大きな袋を背負っている。
中にはトロール素材。
「今日は酒だな!」
リュカが少し笑った。
「また?」
ドワーフは胸を張る。
「勝利の酒だ」
ガルヴァンも小さく頷く。
五人は町へ戻った。
夜。
冒険者ギルド。
いつもより騒がしかった。
トロール討伐の報告が広まっている。
受付嬢が驚いていた。
「トロールですか!?」
アルベルトが頷く。
「ああ」
「洞窟に巣を作っていた」
ギルドの冒険者たちがざわつく。
「すげえな……」
「新人パーティーだろ?」
バルドックが笑った。
「新人じゃねぇ」
リュカを指す。
「赤魔法使いだ」
さらにざわめきが広がる。
リュカは少し恥ずかしそうに俯いた。
受付嬢が報酬を渡す。
「討伐報酬です」
袋の中には――
金貨。
リュカの目が丸くなる。
「多い……」
アルベルトが笑う。
「ボス討伐だからな」
バルドックが言う。
「これで武器材料も買える」
その時。
エリシアがふと思い出したように言った。
「そういえば」
アルベルトを見る。
「あなた達」
「王都へ行く予定はありますか?」
リュカが首をかしげる。
「王都?」
エリシアが頷く。
「ルミナリア」
アルヴェリア王国の中心。
巨大都市。
大神殿もある。
魔導研究院もある。
アルベルトは少し考えた。
それから静かに言う。
「……ある」
リュカが驚く。
「本当?」
アルベルトは頷いた。
「いずれな」
バルドックが笑う。
「いいじゃねぇか」
「王都なら素材も山ほどある」
ガルヴァンも言う。
「仕事も多い」
エリシアは嬉しそうだった。
「私も神殿に戻る予定です」
リュカは少しわくわくしていた。
王都。
見たこともない大きな街。
アルベルトはその様子を見て
少しだけ微笑んだ。
だが。
その目の奥には
まだ誰にも言っていない秘密があった。
アルヴェリア王国。
第二王子。
その事実を
リュカはまだ知らない。




