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第三十話

第30話

トロールの戦利品


洞窟の最深部。

巨大なトロールの死体が横たわっていた。

静まり返った空間。

戦いの余韻だけが残っている。

アルベルトが剣を収めた。

「終わったな」

ガルヴァンが頷く。

「強かった」

バルドックはすでにトロールの死体の横にしゃがんでいた。

目を輝かせている。

「ほう……」

腕を組んで観察する。

「いい素材だ」

リュカが首をかしげた。

「素材?」

バルドックが笑う。

「トロールは宝の山だぞ」

指を折りながら言う。

「皮」

「骨」

「魔石」

「全部武器材料だ」

アルベルトが言う。

「持ち帰れるか?」

バルドックが胸を叩く。

「任せろ」

ドワーフは慣れた手つきで解体を始めた。

ガルヴァンが手伝う。

巨大な牙が抜かれる。

骨が切り出される。

その時。

バルドックが何かを取り出した。

小さな石。

赤黒く光っている。

「魔石だ」

リュカの目が輝いた。

「綺麗……」

バルドックが笑う。

「嬢ちゃん」

その魔石を軽く投げた。

リュカが慌てて受け取る。

「え?」

「やる」

リュカは驚いた。

「いいの?」

バルドックは肩をすくめる。

「トロール止めたのは嬢ちゃんだ」

アルベルトも頷く。

「正当な取り分だ」

リュカは魔石を見つめた。

赤い光。

不思議な力を感じる。

その時。

バルドックがリュカの短剣を見た。

眉をひそめる。

「その短剣」

リュカが見せる。

森で拾った古い短剣。

刃は少し欠けている。

バルドックは鼻を鳴らした。

「もったいねぇ」

リュカが聞く。

「?」

バルドックが腕を組む。

「赤魔法使いなら」

「それ専用の武器が必要だ」

アルベルトが少し興味を示す。

「作れるのか?」

バルドックがニヤリと笑う。

「材料があればな」

そしてリュカの手の魔石を見る。

「例えば――」

「それとかな」

リュカは魔石を見つめた。

「これ?」

バルドックが頷く。

「トロール魔石」

「いい触媒になる」

アルベルトが笑う。

「楽しみだな」

リュカは少し照れた。

「本当に作れる?」

バルドックが胸を張る。

「わしを誰だと思っとる」

ドワーフ鍛冶師。

町一番の武器職人。

「世界に一つの武器」

「作ってやる」

洞窟の奥で

新しい未来の種が

静かに生まれていた。

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