第二十五話
第25話
森の異変
倒れたリザードマンを前に、五人は立っていた。
風が森を揺らす。
静かだ。
アルベルトが腕を組む。
「やっぱり変だな」
バルドックが頷く。
「こんな所にリザードマンは普通いねぇ」
ガルヴァンが森の奥を見つめていた。
耳がぴくりと動く。
「……匂う」
リュカが聞く。
「何が?」
ガルヴァンは低く言った。
「魔物」
アルベルトが眉をひそめる。
「多いのか?」
ガルヴァンは頷く。
「かなり」
エリシアが少し心配そうに言う。
「群れかもしれませんね」
リュカは森を見た。
暗い。
奥はほとんど見えない。
アルベルトが決める。
「調べよう」
バルドックが笑う。
「冒険者らしくなってきたな」
五人は森へ入った。
木々が高く、光が少ない。
足元には湿った土。
鳥の声も聞こえない。
リュカが小さく言う。
「静か……」
ガルヴァンが前を歩く。
完全に前衛だ。
アルベルトがその横。
リュカとエリシアは後ろ。
バルドックは中間。
完全に戦闘隊形だった。
しばらく歩くと。
リュカが足を止めた。
「……これ」
地面に跡がある。
大きな足跡。
アルベルトがしゃがむ。
「リザードマンだ」
しかも――
一つじゃない。
いくつもある。
ガルヴァンが低く言う。
「群れだ」
エリシアが不安そうに言う。
「Cランクの群れは危険ですね」
アルベルトが森の奥を見る。
「だが」
「町の近くだ」
「放置できない」
リュカは頷いた。
自分もそう思う。
しばらく進む。
すると。
木々の間に
黒い穴が見えた。
洞窟。
岩に囲まれた入口。
ガルヴァンが言う。
「ここだ」
洞窟の奥から
ぬるい風が吹いてくる。
魔物の匂い。
バルドックが戦鎚を握った。
「巣だな」
アルベルトが剣を抜く。
「ダンジョン探索だ」
リュカも短剣を握る。
胸が少し高鳴る。
怖い。
でも。
仲間がいる。
アルベルトが振り向いた。
「準備いいか?」
全員が頷く。
五人の冒険者は
ゆっくりと
洞窟へ足を踏み入れた。
暗いダンジョンの奥へ。




