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第十九話

第19話

赤い炎


翌日。

町の市場は賑やかだった。

野菜の匂い。

焼き肉の匂い。

商人の声。

リュカはきょろきょろしながら歩いていた。

「すごい……」

まだ町の生活に慣れていない。

アルベルトが笑う。

「観光か」

リュカは少し恥ずかしそうに言う。

「初めてだから」

その時だった。

遠くから叫び声が聞こえた。

「魔物だ!」

市場の奥。

人々が慌てて逃げてくる。

アルベルトが眉をひそめた。

「何だ?」

次の瞬間。

建物の影から飛び出してきたのは――

巨大狼。

リュカが息を呑む。

「森の魔物……」

狼は興奮している。

町まで迷い込んだらしい。

人々が悲鳴を上げる。

「逃げろ!」

子供が転んだ。

狼が牙を剥く。

リュカの体が先に動いていた。

「はやあし!」

赤い光。

一瞬で距離を詰める。

子供を抱き上げる。

狼が飛びかかった。

リュカが振り向く。

「赤火!」

炎弾。

ドン!

狼の顔に命中。

だが。

完全には倒れない。

アルベルトが剣を抜く。

「リュカ、下がれ!」

アルベルトが前に出る。

狼が吠える。

アルベルトが斬りかかる。

ザンッ!

だが狼はまだ立っている。

その時だった。

「光よ」

静かな声。

白い光が空から落ちた。

ドン!

巨大狼が吹き飛ぶ。

地面に倒れ、動かなくなった。

リュカが振り向く。

そこに立っていたのは――

白いローブの女性。

巡回白魔法師。

エリシアだった。

金色の髪が風に揺れる。

エリシアはリュカを見ていた。

赤い髪。

赤い炎。

そして。

その顔。

エリシアの目が大きく開く。

震える声。

「……リュカ?」

市場が静まり返る。

リュカの心臓が強く跳ねる。

逃げることもできた。

でも。

足が動かなかった。

六年ぶりに

姉と妹の目が

まっすぐ

重なった。

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