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第十四話

第14話

ドワーフの鍛冶師


地下水路から出た三人は、町の大通りを歩いていた。

昼の町は賑やかだ。

商人の声。

荷車の音。

鍛冶屋の金槌の音。

カンッ! カンッ!

その音を聞いた瞬間。

ガルヴァンが足を止めた。

「ここだ」

リュカが見上げる。

そこには大きな看板があった。

バルドック工房

アルベルトが笑う。

「当たりだな」

ガルヴァンが扉を押し開けた。

ガンッ!

重たい音が響く。

店の中には武器や鎧が並んでいた。

剣。

斧。

槍。

壁一面に飾られている。

そして奥から――

怒鳴り声が聞こえた。

「くそったれ!」

ドンッ!

何かを叩く音。

リュカがびくっとする。

アルベルトが苦笑した。

「まあ、あんな感じだ」

奥から小さな男が出てきた。

背は低い。

だが体は岩のようにがっしりしている。

長いひげ。

太い腕。

ドワーフ。

男は三人を睨んだ。

「なんだ客か?」

ガルヴァンが袋を投げる。

ドサッ。

ドワーフがそれを見る。

「……お?」

袋を開ける。

中の工具を見る。

「おおおお!?」

目を見開いた。

「わしの道具じゃねぇか!」

アルベルトが言う。

「地下水路に落ちてた」

ドワーフは腕を組んだ。

「ネズミどもに盗まれたんだ」

それから三人を見る。

「お前ら倒したのか?」

ガルヴァンが答える。

「ああ」

ドワーフは笑った。

「はっはっは!」

大きな笑い声。

「やるじゃねぇか!」

それからリュカを見る。

じっと観察するような目。

「そっちの嬢ちゃんは?」

リュカは少し緊張しながら言った。

「……リュカ」

ドワーフは顎ひげを撫でる。

「ほう」

アルベルトが横から言う。

「赤魔法使いだ」

ドワーフの目が丸くなる。

「赤だと!?」

リュカは少し身構えた。

でも。

ドワーフは突然笑った。

「面白ぇ!」

ドンッ!

カウンターを叩く。

「千年に一人ってやつか!」

リュカは戸惑う。

こんな反応は初めてだった。

ドワーフは腕を組む。

「わしはバルドック」

胸を張る。

「この町一番の鍛冶師だ」

アルベルトが笑う。

「知ってる」

バルドックは鼻を鳴らす。

「当然だ」

それから棚を見回す。

そして一本の短剣を取り出した。

リュカに渡す。

「持ってみろ」

リュカは受け取った。

少し重い。

でも手にしっくりくる。

「……いい」

バルドックが笑う。

「だろ?」

アルベルトが言う。

「サービスか?」

バルドックは首を振る。

「貸しだ」

ニヤリと笑う。

「いつか面白ぇ素材持ってきたら」

「特別な武器作ってやる」

リュカは目を輝かせた。

「本当?」

「ああ」

バルドックは酒瓶を持ち上げる。

「今日は祝いだ」

「ネズミ討伐成功!」

アルベルトが笑う。

ガルヴァンは静かに頷いた。

リュカは少しだけ思った。

六年前。

村では

「忌み子」

と呼ばれた。

でも今。

ここには

笑ってくれる人がいる。

仲間がいる。

リュカは短剣を握りしめた。

自分の世界が

少しずつ

広がっていた。

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