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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第10章 川上健司
254/258

14 卒業

どうぞよろしくお願いします。

第10章の終わりの話になります。

長めです。

 12月の期末が終わり、付属の大学と短大の推薦が決まっていく。

 伊藤や池や松井と次々決まっていった。


 麻岡は指定校推薦で教友大に決まっているが、飯塚と朋佳と一緒に勉強しているようだ。一般入試の生徒達と同じくらいの水準でいたいと。

 英開の相原やソウヤは学校で勉強漬けのようだ。

 朋佳と飯塚は志望校を絞り込めていることもあり、予備校の学校別模試などは受けて対策をしているようだ。

 もうお尻の傷も長く座っていて気にならない程度になったらしいが、やはり座布団があるとないとじゃかなり違うらしい。

 試験時に持ち込めるか、事前に聞いているそうだ。

 望徳大では別室受験を勧められたが、他は試験監督に申告すれば大丈夫となったらしい。

 後、島先生のアドバイスで泉学院の日本文化も受験しておくことにしたらしい。

 教友大、東政大、望徳大……。東政大が一番難しいのだが、本人的に志望校はこの順番らしい。

 クリスマス、正月は返上。

 試験前は学校に来ても、なかなか顔を合わせることがなくなってしまったが、毎日lineではおやすみの挨拶とたまに通話はしていた。

 俺も中学受験の担当のひとりでけっこう忙しく、お互いに頑張ろうという感じだったのが良かったのかもしれない。


 朋佳の大学受験の時期と泉学院中学受験もちょうど同じ時期で、お互い自分のことを精一杯やれば、相手も頑張れている……、そんな思いで……。

 

 結果は、朋佳は教友と望徳と泉学院は合格し、東政はだめだった。

 教友大に進学が決まった。

 まあ、願っていた通りになったのだから、いいだろう。


 飯塚は東政大に決まった。飯塚は逆に教友は落ちていて、このふたつの学校は問題の傾向がかなり違うというので、それぞれ、より対策した方に受かったということだろうか?


 相原は見事、国立の東大に合格。私大も東政と教友に合格したそうだ。もちろん東大進学。

 ソウヤは国立は東北大に合格したが、東政と聖治に合格しており、親との相談の結果、東政大に決めたそうだ。


 受験が終わり、学生仲間で打ち上げするそうだ。都が協力してくれるということになっているそう。

 望徳大の見学の時に助けてくれた都立高校生のふたりとも連絡を取っていたそうで、女の子が聖治大、男の子が東政大に決まったそうだ。打ち上げに誘ったそう。


「山室さんに気をつけるように藤本さんに言わなくちゃ!」と言っていたので、あんまり気にしてなかったようで、けっこう傷ついていたんだなと思った。



 3月には卒業式だ。

 高校は3月に入って一週間で卒業式を迎える。


 卒業式当日。

 朋佳はにこにこしていて、でも目が涙目だった。

 文芸部や自然科学部の後輩達から花束を贈られ、その時は大泣きしていた。

 島先生も泣きながら朋佳に話しかけ、朋佳も抱きついて泣いていた。

 まあ、なんとなくわかる。

 朋佳は中一から目立つ生徒だったが、中学から高一まではクラスの中心でまとめる、動かすという存在ではなかった。そういう力を発揮するようになったのが高二、高三で。

 ちょうどその時期に担任した島先生には朋佳の存在が印象強く残っているんだろう。トラブルにも巻き込まれ、心配もしただろうし。


 そんな様子を少し離れて見ていた俺の背後にいつの間にか田中先生が立っていて、驚いた。


「とうとうこの日を無事に迎えることができたな。

 感無量だよ。卒業、おめでとう」


「そうですね……」


「お互いに秘めた恋ってのは大変じゃなかったか?」


 俺は微笑んだ。


「まあ、でもそばにいましたし……。お互い、信じて……」


 朋佳を探していた出会うまでの年数が長いことの方が不思議なくらいだ。


「まだだめだぞ。4月に大学生になってからな!」


 田中先生には釘を刺された。




 卒業して高三がいなくなった学院。

 俺が最初にクラス副担任として受け持った子達が6年間、この学院で学んで巣立って行った。

 彼女達の人生の大事な13~18歳という一時期に関わることができて、もう子どもではないということもよくわかったし、でも、まだ大人になり切れていない危うさもあり、でも、それゆえのエネルギーと若さだけではない、思い切りの良さやチャレンジする姿とか……、いろいろなことを感じて学ばせてもらった学年だったと思う。


 中学卒業式もあり、そして春休みになった。

 文芸部はみんなで映画デートに行くそうだ。

 4月の最初の日曜日。朋佳と会う約束をしている。

 そこで、正式に告白するつもりだ。

 川上健司として、この先、一緒にいて欲しいと。

 朋佳が大学を卒業したら?

 いや、教師か司書として働き始めて落ち着いたら結婚でいいのか!?

 そうすると4年以上先になってしまう……。

 

 加藤が横川に結婚を申し込んだと聞いて、俺は加藤に相談してみた。


「……あんまり予定とか、この時期はと構えてると、動けなくなるぞ」


 俺の話を聞いて加藤は言った。


「こういうのは勢いも大事だからな。

 まあ、朋佳さんはまだ10代だしな。

 大学途中で学生結婚というのもできなくはないし。

 心配なら婚約だけでも約束しておいたらどうだ?

 しかし、さすがに卒業してすぐの4月に御両親に会ってご挨拶ってのも……変か?」


「だよなぁ……」


「ふふふっ」


 急に加藤が笑い出すから驚いた。


「なんだよ」


「いや、川上が人に相談するなんてあんまりなかったことだなと。

 それだけ困ってるということか。

 いや、人間っぽくなってきててうれしいよ」


 俺もその言葉に笑った。


読んで下さり、ありがとうございます。

これで第10章は終わり、最後に朋佳視点のエピローグで話はおしまいです。

なんとかふたりとも禁断な時期を逃げ切ったね。

ほっとしてます。

次のエピローグまでお付き合いいただけたらとてもうれしいです。

後1話で完結です。どうぞよろしくお願いします。


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