13 志望校
どうぞよろしくお願いします。
朋佳は2日間で退院した。
退院した日は午後にも消毒し、次の日は家で一日しっかり休んだそうだ。
その次の日から俺は車で迎えに行き、一緒に学校へ。そして放課後は病院に寄って消毒して帰るという日が続いた。
朋佳は学院ではひざ掛けを畳んで座布団にして座っているそうだ。
なるべくゆっくりと動くようにして過ごしているとか。
学院でまた『帝と月の宮』の噂が出ているそうだが、今回は怪我という大義名分があるので、朋佳も恥ずかしがってはいるが受け入れているようだ。
俺は純粋に朋佳に関われてうれしい。
土曜日も病院に送迎し、月曜日には無事にふたりとも抜糸ということになった。
何もなければ一週間後に一度診せてくれと言われた。
月曜日、帰宅する車の中で朋佳にお礼を言われる。
「ありがとうございました。
明日からは電車で行けそうです」
「まだ、もう少し大事にした方がいいんじゃないか?」
「うーん、じゃあ、朝だけお願いできますか?
朝は電車混んでるので……。
帰りは大丈夫です。少しは動かないと!
次の診察までの一週間ぐらい?」
「わかった。大丈夫だ。大事にしろよ。
じゃ、明日も朝迎えに来るから」
「ありがとうございます」
「勉強の方はどうだ?」
「学院の方はまあ、みんなノートをコピーさせてくれたし、教えてくれたから大丈夫。
教科書読めばわかるところも多いし。
受験の方は……、文化祭と入院でちょっとペース乱れちゃったから。
でも、またペース上げて、頑張ってる」
「そうか。志望校は?」
朋佳が苦笑した。
「……悩んでる、けど、まあ決まったかな」
「聖治大か教友大だろ?」
「あ……、うん、東政大と教友大にしようかなって。
でも、島先生にそうするなら望徳大も受けるように言われて……」
「……滑り止めって感じか。
なんで、聖治大やめたんだ?」
「やめたっていうか……。
山室さん、聖治大に決まったでしょ」
「2年の時のトラブルの?」
朋佳はため息をついた。
「うん、合わないとわかっている人がいる所へ行くって……。
聖治大に行かなきゃ取得できない資格なんだったら、そこは我慢するけどさ。
教友大でも東政大でも、まあ司書の勉強はできるし、コースがなくても他大学のコースを受講できるから……。
そこまで聖治大じゃなきゃってのはない」
「だったら、麻岡や渡辺と一緒の方がってことか」
「うん、絶対楽しい」
そう言ってから慌てた。
「楽しむために大学行くわけじゃないけど!
その、環境ってのも大事じゃない?」
「ふふっ、いいと思うよ」
俺は笑った。
「麻岡が一緒なら、変な虫から守ってくれそうだしな」
「私がアキとこころちゃんを守るんだ!」
少し怒った表情で言う朋佳がかわいらしかった。
朋佳のマンションについて、ゆっくりと降りるのを見守る。
「じゃ、明日は朝迎えに来る。まあ都合が合えば帰りも乗せることができるから」
「川上先生、ありがとうございました!」
マンションのエントランスに入って行く朋佳を見送って……、一度振り返って手を振ってくれた。軽く手を挙げて、車を発進させた。
読んで下さり、ありがとうございます。




