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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第10章 川上健司
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12 責任を取る

どうぞよろしくお願いします。

 次の日、学院は振替で休みのため、俺は病院に行った。

 昨日は学院に車を置いてきたので、電車でだ。

 傷を消毒してもらうのと、朋佳の見舞いも兼ねて。

 先に受付して傷を消毒してもらう。傷の具合いも良いようだ。

 できたら明日も消毒に来るように言われる。


 病室前で朋佳の母に会った。

 天堂家は家の鍵を変えたそうだ。そして、天堂は実家への不法侵入に窃盗、そして俺と朋佳への傷害、元妻と息子に禁止された接触をしようとしたということで取り調べられているそうだ。

 すでにDVやモラハラの件が離婚の時に証明されているので、今回は有罪は免れないだろうということだった。

 朋佳は家と病院との移動がやはり大変だろうということで大事を取ってもう1日入院すると。

 今日も午前中に消毒し、動かないようにしていたおかげか状態もいいので、明日の午後には退院するそうだ。

 2~3日はできるだけ歩いたり座ったりに気をつけた方がいいということで文化祭休みの今日はいいが、明日は休ませると伝えられる。


「担任には?」


「島先生も、午前中にお見舞いに来て下さって、お話しはしてあります。

 本人は学院に行きたがってますけど、縫ってある状態とはいえ無理して傷が開いたらですし……」


「明日、欠席して、しばらくは大事を取った方がいいのでしょう?

 良ければ朝と帰り、車で送迎しますよ。

 私も消毒に通うように言われています。学校の帰りに病院に寄ればいい。

 私も二日後であれば、もう車も運転できると思います」


「……お願いできますか!

 ちょっとどうしようかと思っていたので、助かります。

 朋佳も喜ぶと思います」


 今回の事件は天堂家、つまり、若宮の親戚の家のトラブルということになり、学院としては特に公表はしないことになった。

 俺は労災や保険が認められた(勤務中の事件)し、朋佳も学院で入っている傷害保険が使えたとのことだ。

 そんな話をしている最中にも病室からはキャーキャー女子の声がしている。

 昨日は大部屋が空いてないと個室に安く入れて、保険も使えることになり、そのまま個室利用にしたとのことだ。


 個室の部屋をノックして入ると「あ! 帝、遅いよー!」「本当、遅い!」と声が掛かる。

 元部長の野田桜子と……、文芸部元部長の星野……、ゆかりだったよな。

 もうすっかり女子大生という感じだな。


「文化祭、行ったのに、川上先生にもトモちゃんにも会えなくて寂しかったんだから!」


 星野の言葉に、そういえば夏の合宿には差し入れを持って来てくれたが、文化祭では会っていないことを思い出した。

 それに麻岡と伊藤と飯塚までいる。

 朋佳はベッドに斜めにうつ伏せになるように横になっている。


「帝はトモちゃんのお尻の傷、もう見たの?

 さっき見せてもらってさ、かわいそうよね」


 野田の言葉に朋佳が噛みついた。


「なんで川上先生に見せる必要が!?」


「いやだって、川上先生を庇ったんでしょ?」


「ああ、俺の責任だ」


 そう答えると野田と星野と伊藤が「「「キャー!!」」」声を上げる。


「うるさいんだよ。ここは病室だぞ!」


 俺は静かな声で注意した。

 麻岡が言った。


「川上先生には責任取ってもらわなきゃね。

 トモのこと、次こそはちゃんと守ってよ! 守られるんじゃなくね!」


 朋佳がうれしそうに言った。


「川上先生、アキ、教友大、合格だって!」


「それはおめでとう!」


「ん、ありがとう。その川上先生にも少しはお世話になったかな……?」


 麻岡らしい返事だ。

 朋佳が寝っ転がりながら麻岡をうれしそうに見上げている。


「アキが一番に進路決めたね! おめでとう!」


「何言ってるの……、一番先に進路を決めちゃったのはトモじゃない!?」


「え?」


「だって、川上先生が責任取るってことはそういうことでしょ!?」


 飯塚が俺と朋佳を交互に見た。

 朋佳は真っ赤になっている。


「なるほど……、なんか怪しいとは思ってたけど、そーいうことかっ!

 トモちゃん、お幸せに!」


「は? ヅカちゃん、川上先生は先生で……、中一の副担からなんかずっと……、その腐れ縁ってやつ?」


 腐れ縁とは失礼な。でも、確かに他から見たら、前世からの俺の執着ががんじがらめにした縁。

 つまり、腐れ縁なのかもしれないな。

読んで下さり、ありがとうございます。

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