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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第10章 川上健司
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10 巫女服

どうぞよろしくお願いします。

『泉神社』はうどんもちらし寿司も売り切れ、最後に「稲荷寿司とお茶、どうですかー!」と猛烈な売込みをしていた。店自体はもう空いている。


「あ、川上先生! 先生も怪我したの!?」


 飯塚が目敏く見つけて声を掛けてきた。


「最後、買って下さーい!」


 典ちゃんこと、松井が言った。

 俺は財布を取り出そうとしてもたついたが、その合間に相原とソウヤと伊藤はまだ食べていないと聞き出して、お茶と稲荷寿司を奢った。


 テーブルに案内されると、松井と飯塚と都も来た。

 麻岡と横川は朋佳の荷物をまとめに行った。


「横川と加藤がトモちゃんに荷物届けてくれるんだって?」


 都の言葉に頷いてから、俺は松井を見た。


「松井、ありがとう。

 松井が作ってくれた衣装のおかげで、……若宮はひどい怪我にならなくてすんだ。

 本当にありがとう」


「えっ? トモちゃんが怪我をしたと聞いたけど、どういう……?」


 戸惑う松井にみんなが「本当にありがとう」「トモからお礼を伝えてって言われたの、ありがとう!」と言葉が飛び交う。


 飯塚が「やっぱりDV夫が暴れたの?」と俺の左手の包帯を見て言った。

 拭き取ったのだが、シャツにも少し血が滲んでいる。シャツやスーツの袖にナイフの刃が引っかかり止まらなかったら、もっと長く切れていたかもしれない。

 俺はその男がナイフを手に暴れて、俺は左手を、若宮は腰の辺りを斬りつけられてのだが、袴のベルト部分がそれを弾き、ナイフの刃が下がったお尻のあたりの切り傷で済んだことを話した。

 松井はびっくりしていた。


「えっ……、作り方だと接着芯だけだったんだけど、なんか崩れやすくて。

 ホテルの見せてもらったら、けっこう硬めの芯が入ってて。やっぱりそのほうが綺麗だよなって。

 100均のクリアファイル二つ折りをさらに重ねた芯を作って補強したの。

 後、普通に紐を巻いて着るんだもんね。

 それが良かったのかな? 下の部分もプリーツにして布が二重になってたし?」


「すごいじゃん、典ちゃん!

 命の恩人だね、

 トモちゃんお尻怪我したの!?」


 飯塚、声がでかい……。

 伊藤が「あんまり大きな……」と言いかけるが話はすでに広まりそうな勢いだ。


「えー、トモちゃん、お尻怪我したの!?」「そりゃ、たいへん!」「あのプリプリのお尻が……」「プリケツー!」


 あっという間に話が広がっていき……。俺は苦笑した。


「松井、飯塚、会計や片付けの方は大丈夫か?」


「はい、会計は私とヅカちゃんでしめられます。

 ホテルから借りているものは都さんが車を呼んで持って帰ってくれるって。

 あ、これ、トモちゃんに!」


 松井がキッチンカウンターの方へ行くと白い皿を2枚持って戻って来た。


「お皿はクラスのみんなで分けることにしました。

 鈴や酒器は欲しいという子がいるのでその子に。

 トモちゃんにはあの巫女服、どうぞって。もし直すところがあれば直すからって伝えて下さい」


「わかった、そう連絡しておく」

 

 戻って来た横川に、皿はみんなで分けることになり、若宮の分と渡した。

 模擬店を出て、高校の職員室に寄りながら、門まで横川と加藤、相原とソウヤを見送った。

 講堂に入るとエントランスの椅子に座り、朋佳に先程の松井の伝言と横川と加藤がカバンと制服を届けに行ったことをlineで打って送信した。

 そしてまた『泉神社』に様子を見に戻る。


読んで下さり、ありがとうございます。

後4話でこの章は終わる予定です。

あと少しお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

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