7 血の縛り
どうぞよろしくお願いします。
天堂が暗い目で俺を見ると、大きくナイフを振りかぶった。
俺は……。
その時、白と赤が俺の目の前に飛び込んできた。
俺を守るために、朋佳が間に飛び込んできたと理解するのに、時間が、ほんの一瞬のことなのに……。
信じられない気持ちと朋佳が傷つけられるという恐れと、俺は瞬間的にパニックになりかけた。
朋佳は俺の頭を守るように抱え込んでいて、天堂に背中を向けている!?
天堂のナイフには俺の血が!
前世の記憶。お互いの血がお互いを傷つけ命を奪う唯一の武器となる。
いろいろな記憶や感情が暴走する様に暴れ出す。
俺は血だらけの右手を、怪我をしている左手も伸ばし、必死に朋佳を抱きしめた。それしかできなかった。
俺の手だけでは朋佳の背中を守ることはできない。
そんなことはわかっているのにそれしかできない。
朋佳の身体から衝撃がこちらに伝わってくる、朋佳を抱きしめたまま倒れる。
「トモちゃん!」
都の悲鳴!?
朋佳が俺の身体の上に倒れながらも後ろを振り返った。
天堂は西村先生と加藤に取り押さえられるところだった。
ほっとしたが、朋佳が顔を顰めた。
俺から離れようと腕を突っ張るように身体を離し、立ち上がった。
少しふらついている。横に揺れて倒れないように足をとととっとそちらに小刻みに出すみたいになり、朋佳の足元に血がぱたぱたっと垂れたのが見えた。
朋佳もそれに気づき、後ろに手を回し、手前に持ってきて手のひらが血で濡れてるのを見て、一気に顔色が白くなった。
揺れるように後ろに倒れそうになり、俺は跳び起きて右手で朋佳の腕を掴んで、倒れることは阻止できた。
抱きしめて「朋佳!」と呼ぶ。
都が突き飛ばすように場所を代わろうとしてきたので「何を……」と言いかける。
「私は医者! あんたは自分の手当てしなさい!」
その都の言葉に我に返った。
そうだ、朋佳は俺を庇って、斬られた? 刺された!?
「加藤!
川上見てやって!
そこの人!
この子をうつ伏せにするから手伝って!」
都の声が駐車場に響く。
俺の血で汚れたナイフで朋佳は……。
前世の血の縛りは消えているはずななのに、俺は恐ろしくなった。
俺の血が朋佳を傷つけた。
前世の因果が巡って、朋佳が傷ついたような気がした。
「ほら見せろ!」
加藤がハンカチを押し当てて左手の傷を押さえてくれる。
「うー、けっこう傷が長いな」
慌てて自分のネクタイを外し、ハンカチで覆った上からグルグル巻きつけるように結んでくれた。
「とりあえず、これで押さえておけ」
朋佳の方を見ると、うつ伏せにされている。怪我の状態を都が見ているようだ。
神様! 仏様!
誰でもいい、朋佳を助けてくれ!
俺から朋佳を奪わないでくれ!
守ると誓ったばかりなんだ!
俺は朋佳の方へ行こうとして加藤に止められる。
天堂は警備員と教頭と西村先生で連れて行った。
田中先生が電話で呼んだようで簡易担架のようなものを抱えて、養護の重田先生が来た。
「また、若宮さんなの!?」
その言葉に瞬間的に怒りが湧いたが都の言葉で落ち着くことができた。
「好き好んでトラブルに巻き込まれているわけじゃない!
とりあえず保健室に!
命に別状はないけど、縫う必要がある。
本当にラッキーだったね。
この巫女衣装のおかげだね。典ちゃんに感謝しなさい!」
都の言葉に朋佳が頷いたのが見えた。意識が戻っている!
読んで下さり、ありがとうございます。




