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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第10章 川上健司
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2 愛ゆえに

どうぞよろしくお願いします。

 その前世の焦燥感が再び俺を捉えた。

 若宮が高一の時、それは俺をどうしようもないほど焼くことになった。


 どうにかして若宮を俺のものにする。

 再び彼女を愛することで罪に引きずり込むことになるが、前世では禁忌の関係だったのが、今世では時間制限付きの禁断の関係だ。

 彼女を愛することは、時が来れば、卒業すれば許される。

 俺は少しずつ彼女に近づき、思いを伝えていく。

 途中で、彼女には前世の記憶があるのかもしれないと気づいた。

 彼女ももしかしたら、俺を探しているのかもしれない。いや、避けようとしている?

 金魚葉のアイコン。

 そんな時に朋佳に好意を持った少年が現れたが、彼女は彼を寄せ付けなかった。

 そして、時々、何とも言えない遠くを見るような表情で俺を見ていることがあった。

 若宮朋佳は気づいている。

 無意識に俺のことを気にしているのに、わざと避けようとしているような……。

 このままだと、俺の手を取るまいととして、誰か違う男の手を衝動的に取ってしまうことがあるかもしれない。 

 前世とは違う生き方をしようと……。


 そう考えていた時、自然科学部のフィールドワークに朋佳のいる文芸部が参加することになった。朋佳の家と俺の家が一駅違いと近かったこともあり……、俺の家に連れ込むことに成功した。

 俺は前世の時からの思いを。彼女を男として愛したいという思いを、彼女にぶつけた。

 知って欲しい、俺はお前を愛していた。

 壊して、憎ませ、殺し合うほど、愛していた。

 やはり朋佳は前世を覚えていた、

 とうとう見つけた。

 必死に俺の手から逃れようと抗う彼女の姿すら愛しく、俺は暗い喜びに満たされながら、彼女を、無理やり、自分のものにした。

 前世を覚えているなら……。

 このどうしても諦めることのできない愛をわかってくれるのではないかと思った。

 すべてぶちまけた。

 なんでお前を壊したか。

 愛しているから、愛し合える関係に、違う世界に生れ落ちるために……。

 彼女は泣きながら俺のものになってくれた。

 心の中ではいろいろな葛藤を抱えていたようだが、俺のことを考え、前世を越えて、俺と生きようとしてくれ……。


 その明るさと素直さで俺を心配する気持ちを見せたかと思うと、俺に愛されていることをわかっているのにわざと突き放してみたりと、彼女の行動がかわいくて。

 俺は彼女に溺れた。

 朋佳といると、俺を焼く暗い炎が鎮まっていくような気がした。


 このことがバレたら、俺は教師として、人間として破滅するというのに、朋佳を前にすると気持ちが溢れて止められなくなる。

 その度に彼女は最終的には受け入れてくれて、その後は周囲に必死にばれないように、俺を守ろうとしてくれるのだ。

 そんないじらしい姿を見る度に、彼女への愛しさが募っていく。


 俺は朋佳に俺のそばで生きて欲しかった。

 最初は無理やりだったかもしれない。

 前世では愛ゆえに彼女を壊した。

 それでもだ。

読んで下さり、ありがとうございます。

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