26 ツボ
どうぞよろしくお願いします。
私とアキは顔を見合わせた。なんて用意周到!?
加藤さんが笑った。
「はい、そこ、笑わない!」と都さんが言って、加藤さんが教えてくれる。
「都はさ、許せないんだよ。
女性を食い物にするっていうか、耳触りのいいことを言って裏切ってたり、利用しているような奴らをさ。
今じゃ、趣味が高じて、浮気やDVの証拠集めのアドバイザー的なこともしているくらいだから」
ひょえー! 女性の味方!
「かっこいい……」
私がぼそっと呟くと、都さんがウインクしてきた。
「朋佳ちゃん、川上が変なことをしたら、都お姉さんが厳しくお仕置きしてあげるから、ね!」
加藤さんが紗栄先生とアキと相原くんを送って行くことになり(だから川上先生!? ちゃんと送るってうちの親に言ってたよね?)、都さんと私が川上先生の車で送ってもらうことになる。
車が走り出し、まず都さんの家へとなる。
我が家と川上先生の家は一駅違いでまあ近いしね。
「……気になってたのよね。
ここは、どうなの?」
都さんがズバリ後部座席から聞いてきた。
「どうとは?」
私が微笑んで聞き返す。
「あー、朋佳ちゃん?
調べてもいいんだけど?」
こわっ!!
「えっと……」
私は運転中の川上先生をちらりと見た。
「……私が卒業したら、正式にお付き合いしたいなって……」
「うん、どう見ても両想いだもんね。
で、本当に卒業してから?」
「公にするのは卒業してからだな」と川上先生が言った。
「ふーん、じゃあ、秘密の関係ってとこか!
ま、教師と未成年の教え子じゃ、犯罪だもんね。
……キスぐらいはしてるんでしょ?」
私は真っ赤になってしまって、俯いた。
「あら、いい反応。
川上、大切にしなきゃだめだよ。
でも……、そっか、普通にデートもできないのか!
川上! 今度うちの別荘にでも来る?
周囲私有地だし、人は入って来ないよ」
「……都、お前、何したいわけ?
俺と朋佳を……」
「えー!
朋佳ちゃん、川上来ないってー!
じゃあ私と横川でも誘って行くぅ?
加藤も来るかなー。
横川と加藤、いい感じだよね?」
「え、あ! そういうことなんですか!?」
私は驚いて顔を上げて振り向いた。
「加藤さんと紗栄先生……、なんかいいです。素敵です」
「おい! 別荘行くなら、俺も絶対呼べよ!」
「えー、どうしよっか、トモちゃん」
わざとらしく川上先生をからかう都さんに私は笑ってしまった。
都さんの家!?
でかっ!
都さんが車から降りて、今度は私の番だ。
久しぶりの車デート!?
「はあ、都……。
悪いな、騒がしい奴で」
「いえ、楽しかったです」
「……朋佳、ありがとう。
危険な目に合わせてしまったけれど……。
俺はほっとしている。
篠原と天堂と……、何か心にわだかまっていたものが消えたみたいな……」
「それは良かったです。
篠原雅さん。強がってたけど本当は寂しがりやな優しい人だったんですね。
それを天堂さんに狙われた。
あの言い合いの時、マユミを狙ってきたでしょ。
そういう感覚が鋭い人だったんだと思った。
川上先生はもう篠原さんのことはいいの?
突き放しているようで、気にしてたんじゃ?」
「そんなことはない。
もう関係ないと思っている。でも、裏切られたとはいえ幸せにはなって……」
「うん、不幸になれとは思ってないことはわかる」
私は小さく笑ってから、さらに呟いた。
「……でも、やっぱり、ちょっとは……、嫉妬したなぁ……」
もう夕暮れ、暗くなるのが本当に早い。
車が急に止まってびっくりする。路肩に寄って停まってる!?
「えっ?」
運転席を見ると川上先生が真っ赤になってて……。
「……どうして、ふいにそういうこと言うかな……。
あー!!」
その時、私のスマホが震えた。
見ると都さんからのlineで。
『お母様にそろそろ着くころでは~と連絡入れておいたから、寄り道しないで早く送りなさいっ! って川上に言いな』
私は笑ってしまった。
川上先生にスマホを向けて見せる。
「なんだよ! 都め!」
もうツボ!
私は助手席でケラケラ笑い続けて、怒った表情の川上先生が車を発進させた。
読んで下さり、ありがとうございます。
なんとなく章的な終わりかなと思いつつ、もう少し都さん達のことを書きたくなって、このまま朋佳視点で行くことにしました。
完結に向かって進んでます。
もう少しお付き合いいただけたらうれしいです。




