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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第9章 若宮朋佳
228/258

26 ツボ

どうぞよろしくお願いします。

 私とアキは顔を見合わせた。なんて用意周到!?

 加藤さんが笑った。


「はい、そこ、笑わない!」と都さんが言って、加藤さんが教えてくれる。


「都はさ、許せないんだよ。

 女性を食い物にするっていうか、耳触りのいいことを言って裏切ってたり、利用しているような奴らをさ。

 今じゃ、趣味が高じて、浮気やDVの証拠集めのアドバイザー的なこともしているくらいだから」


 ひょえー! 女性の味方!


「かっこいい……」


 私がぼそっと呟くと、都さんがウインクしてきた。


「朋佳ちゃん、川上が変なことをしたら、都お姉さんが厳しくお仕置きしてあげるから、ね!」



 加藤さんが紗栄先生とアキと相原くんを送って行くことになり(だから川上先生!? ちゃんと送るってうちの親に言ってたよね?)、都さんと私が川上先生の車で送ってもらうことになる。

 車が走り出し、まず都さんの家へとなる。

 我が家と川上先生の家は一駅違いでまあ近いしね。


「……気になってたのよね。

 ここは、どうなの?」


 都さんがズバリ後部座席から聞いてきた。


「どうとは?」


 私が微笑んで聞き返す。


「あー、朋佳ちゃん?

 調べてもいいんだけど?」


 こわっ!!


「えっと……」


 私は運転中の川上先生をちらりと見た。


「……私が卒業したら、正式にお付き合いしたいなって……」


「うん、どう見ても両想いだもんね。

 で、本当に卒業してから?」


「公にするのは卒業してからだな」と川上先生が言った。


「ふーん、じゃあ、秘密の関係ってとこか!

 ま、教師と未成年の教え子じゃ、犯罪だもんね。

 ……キスぐらいはしてるんでしょ?」


 私は真っ赤になってしまって、俯いた。


「あら、いい反応。

 川上、大切にしなきゃだめだよ。

 でも……、そっか、普通にデートもできないのか!

 川上! 今度うちの別荘にでも来る?

 周囲私有地だし、人は入って来ないよ」


「……都、お前、何したいわけ?

 俺と朋佳を……」


「えー!

 朋佳ちゃん、川上来ないってー!

 じゃあ私と横川でも誘って行くぅ?

 加藤も来るかなー。

 横川と加藤、いい感じだよね?」


「え、あ! そういうことなんですか!?」


 私は驚いて顔を上げて振り向いた。


「加藤さんと紗栄先生……、なんかいいです。素敵です」


「おい! 別荘行くなら、俺も絶対呼べよ!」


「えー、どうしよっか、トモちゃん」


 わざとらしく川上先生をからかう都さんに私は笑ってしまった。


 都さんの家!?

 でかっ!


 都さんが車から降りて、今度は私の番だ。

 久しぶりの車デート!?


「はあ、都……。

 悪いな、騒がしい奴で」


「いえ、楽しかったです」


「……朋佳、ありがとう。

 危険な目に合わせてしまったけれど……。

 俺はほっとしている。

 篠原と天堂と……、何か心にわだかまっていたものが消えたみたいな……」


「それは良かったです。

 篠原雅さん。強がってたけど本当は寂しがりやな優しい人だったんですね。

 それを天堂さんに狙われた。

 あの言い合いの時、マユミを狙ってきたでしょ。

 そういう感覚が鋭い人だったんだと思った。

 川上先生はもう篠原さんのことはいいの?

 突き放しているようで、気にしてたんじゃ?」


「そんなことはない。

 もう関係ないと思っている。でも、裏切られたとはいえ幸せにはなって……」


「うん、不幸になれとは思ってないことはわかる」


 私は小さく笑ってから、さらに呟いた。


「……でも、やっぱり、ちょっとは……、嫉妬したなぁ……」


 もう夕暮れ、暗くなるのが本当に早い。

 車が急に止まってびっくりする。路肩に寄って停まってる!?


「えっ?」


 運転席を見ると川上先生が真っ赤になってて……。


「……どうして、ふいにそういうこと言うかな……。

 あー!!」


 その時、私のスマホが震えた。

 見ると都さんからのlineで。


『お母様にそろそろ着くころでは~と連絡入れておいたから、寄り道しないで早く送りなさいっ! って川上に言いな』

 

 私は笑ってしまった。

 川上先生にスマホを向けて見せる。


「なんだよ! 都め!」


 もうツボ!


 私は助手席でケラケラ笑い続けて、怒った表情の川上先生が車を発進させた。


読んで下さり、ありがとうございます。

なんとなく章的な終わりかなと思いつつ、もう少し都さん達のことを書きたくなって、このまま朋佳視点で行くことにしました。

完結に向かって進んでます。

もう少しお付き合いいただけたらうれしいです。

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